土用の丑の日や夏バテ防止など、日本の食文化には欠かせない「うなぎ」。
絶滅の危機に瀕しているというニュースが報じられてからしばらくたつが、
「うなぎがなくなるなんて考えられない!」と絶望したうなぎファンたちが涙して喜びそうな取り組みを行っている団体がある。
パルシステム生活協同組合連合会だ。
このたび、あえて、通常よりも大きく育てられたうなぎを発売するというのだ。
回復策への取り組みは、すでに2013年から行われていた。
環境省が2013年2月に「ニホンウナギ」を絶滅危惧種に指定してから、パルシステムは「日本伝統の食文化を守りつつ、うなぎの資源回復をする」方針を積極的に打ち出したのだ。
2013年4月にはうなぎの産地である鹿児島県大隅地区の漁業協同組合と協議会を設立し、果敢に資源回復策を講じ続けている。
今回2014年5月5日から発売されるのは、「大隅産うなぎ蒲焼カット」だ。
通常のうなぎは一尾約250gだが、このうなぎは約330gという。
骨があたりやすく、皮が厚いという大きなうなぎの欠点をうまくカバーし、逆に身の厚みや脂ののりを楽しめるような工夫が、加工工程の見直しにより図られたという。
通常より大きめに育てられたうなぎだけが使用されている
「大隅産うなぎ蒲焼カット」(税込1880円)
通常、絶滅の危機に瀕した種は「食べる」のではなく「守る」ほうに意識が向かうものだが、パルシステムはその逆の手法を取っている。
あえて大きいうなぎを生産し、積極的に消費者に購入してもらい食べてもらうことで、生産者や加工業者が、研究者とともにさらに協力し合いながら、うなぎ資源とうなぎ食文化を守るという方針だ。
2013年度からは、ニホンウナギの資源回復のためのカンパが呼び掛けられ、結果381万100円が集まったという。これに加えて、商品の売り上げ336万140円と合わせ、総額717万240円が、大隅のうなぎ資源の保全に役立てられているという。
2014年4月からは、また1年間、支援カンパを募っている。
「食べながら守る」うなぎ回復策。
今後もパルシステムのさらなる取り組みに注目したい。