古都・京都といえば「和」のイメージ。寺社仏閣はその最たるものに違いない。だが、そんな固定概念がガラリと変わる建築物が、京都の南禅寺にある。
洛東エリアにある南禅寺は広大な敷地を有する。その境内にある「水路閣」を見ると、まず誰もが驚く。この水道橋、どうみても古代ローマの水道橋アーチをモデルにしたようにも見える。実はこれは間違いではなく、正解なのだ。
水路閣は明治32年(1890年)、琵琶湖から引いた水を京都に届ける琵琶湖疎水の一部として築造された。当時、ローマの水道橋をまねて作られたといい、頑強な赤レンガづくりの水路は今も現役だ。この水楼閣を設計したのは、琵琶湖疎水の父ともいえる、日本初の水力発電の設計にたずさわった田辺朔郎氏。全長93.2メートル、幅4メートル、高さ14メートルあり、南禅寺の伽藍の中で異国情緒あふれる場所として知られている。
なお、この水路閣は、映画やサスペンスドラマの舞台として登場することでもおなじみ。和と洋がコラボレーションしたユニークな景観がロケ地に選ばれる所以なのだろう。
ぜひ、映画やドラマの登場人物の気分も味わいながら、京の都にある異国情緒に触れてみてはいかが?
南禅寺
(Written by AS)