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世の女子が日常生活で抱えがちなイライラやザワザワを、女装した芸人たちがそれぞれの“ガールズジョーク”で跳ね返してスッキリしてもらうというTBSの超人気番組「内村とザワつく夜」。
5月20日放送の同番組で、衝撃的なデータが紹介されていた。

「35歳以上の女性が結婚できる確率は2%」というものだ。

こちらの情報についてリサーチをしてみると、同じようにこのデータを取り上げている記事が散見される。
もともとは男性の結婚率が低い、というもので、この「男性は3%、女性は2%」であることと、「2010年の国勢調査で明らかになった」ということがどの記事にも必ず書かれている。
“国勢調査だから信頼できるデータである”という権威付けと、具体的な数字を与えることのインパクトによって、35歳以上で結婚できる人はとんでもなく少なく見えるのだが、果たして本当にそうだろうか。

◆「35歳以上の未婚者のうち2%」ではなく、「35歳以上のうち2%」である
あらゆるところに拡散されている情報の元は、2012年12月19日発売号の「SPA!」のようだ。
記事中では、婚活コンサルタントがこのデータを持ちだして、35歳以上の結婚がいかに少ないのかを伝えたようである。
国勢調査は2005年と2010年に行われている。調査の内容には「人口等基本集計結果」に「配偶関係」という項目があり、5年ごとの年代別に未婚・既婚・離別/死別の割合が出ている。
こちらの調査結果のうち、2010年に調査された40歳〜44歳の未婚率から2005年に調査された35歳〜39歳の未婚率を差し引き、「5年のうちに結婚した人」の割合を計算したものと思われる。

現在WEB上で公開されている国勢調査の結果を実際に見てみよう。
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まとめたグラフの青部分が国勢調査で発表された部分だ。
SPA!がデータを紹介してから1年以上経っているので、数値に微妙な調整があったのか、実際5年以内に結婚する人の割合は男性で1.4%、女性で1.0%と、“35歳以上の結婚率”はもっと減っている。

しかし、この男性の未婚率30.0%というのは、もともと35歳から39歳の日本人男性のうちの30.0%であるので、2005年に35歳から39歳だった男性のうち、10人に3人は結婚していない、ということを示している。
ここから5年後の2010年、40歳から44歳の男性の未婚率を差し引いた結果に出た1.4%は、35歳より前にすでに結婚していた40歳から44歳を含めて1.4%ということになる。

実際すでに結婚していた人たちを省くと、男性は4.7%、女性は5.4%。それでもあまり高くはないが、当初の数値だった女性2%の3倍近くが結婚している。
また、これは5年間をみたデータであるので、40歳〜44歳を越えてから結婚する人はこちらに含まれていない。女性には少ないかもしれないが、男性の40歳以降の結婚はなにも不思議なことではない。


◆男の結婚率3%に隠された “婚活コンサルタント”の意図
結果、35歳から39歳の未婚女性が5年以内に結婚する割合は5.4%ということがわかった。20人に1人というと確かに少なく感じるが、残りの未婚女性全員にも結婚する意思があったのかというと、そんなことはないはずだ。
この年代で結婚する意思があった人が5年後に結婚できる割合を算出したら、いったい何パーセントになるだろうか。

かつて「就職内定率100%」を謳っている大学があった。しかしこの100%にはもともと就職する気がなかった学生は含まれていない。これを謳う大学の学生で、就職できなかった学生をいくつも知っている。就職できなかった=就職する意思がなかった、とみなされるのである。

ものごとを数字で表すと一気にわかりやすくなるのだが、その数字を出した人の“意図”が必ず隠れていることを忘れてはいけない。