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京都の伏見といえば日本有数の清酒メーカーが集まる場所。黄桜、宝酒造、月桂冠など全国に流通する日本酒を製造する会社も多いです。

その伏見の一角で、空のポリタンクなどを手に並んでいる場所があります。「白菊水」が誰でも自由に汲むことができ、地元の人々がその水を求めて並んでいます。

ここで汲むことができるのは、伏見七名水の1つに数えられる「白菊水」で、鳥せい本店の横にあります。延宝5年(1677年)創業の老舗酒造「山本本家」の酒作りに使われている名水で、白菊を愛でる翁が「この地に日照りが続き、稲が枯れるようなとき、私の愛でた白菊の露の一雫(ひとしずく)より清水が湧き出す」との伝説に由来します。

自分も空のペットボトルを持参して行列に並び、その水を汲んでみました。一口飲んでみると、さすが、名水で知られる御香宮神社のご香水と同じ水脈といわれ、その湧き水は冷たくてまろやか。一般的に、伏見の酒はトゲがなくてやさしい甘みを持つといわれますが、その通り、伏見の水は軟水に近くて硬水独自の飲みにくさがなく、鉄分の含有量も極めて少ない中硬水なので、やわらかな味からお酒が作られているのがわかりました。

なお、この白菊水を使ってお米を炊いたり、コーヒーを淹れたりするととてもおいしいのだそう。ぜひ一度お試しあれ。
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山本本家