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大阪の夏祭り、このスタートを切って行われるのが「愛染祭り」だ。大阪市天王寺区にある四天王寺の別院・愛染堂勝鬘院、通称「愛染さん」で催されるこの祭りは、天神祭、住吉祭と並ぶ「大阪三大夏祭り」の一つに数えられる。

愛染さんは昔から大阪人の、特に女性の信仰を集めてきた。近年さらに外国人女性の参拝客も見られるほどグローバル化している(境内には英語の案内もある)

もともと聖徳太子にゆかりがあり、豊臣秀吉によって再築された勝鬘院は重要文化財。金堂の御本尊が愛染明王で、愛染祭りは、聖徳太子の「苦しみ、悲しみを抱く人々を救済したい」という大乗仏教の意向を受け継いで1400年もの間続いている。色町の芸妓衆が駕籠に乗って参詣したのが「宝恵駕籠(ほえかご)」の始まりとされ、現在も浴衣娘が大勢参加する「女の祭り」として知られる。

祭りの期間中、良縁成就・縁結び・夫婦和合・商売繁盛にご利益がある愛染明王が特別に無料開帳されるのも見どころ。毎年6月30日、300〜400名の応募者から選ばれた12名の愛染娘たちを紅白の布と愛染かつらの花で飾られた7台の宝恵駕籠(ほえかご)に乗せて「愛染さんじゃ、宝恵かご!」と天王寺駅前から勝鬘院までを練り歩くパレードも有名だ。7月1日には、愛染娘たちが隠し芸や一発芸を披露して「ミス愛染娘」を決まる。

さらに、6月30日の宵宮、7月1日の本祭、7月2日の残り福の3日間、一度は小雨が降る。“愛染パラパラ”といわれ、愛染さんに参拝した行き帰りの途中、この愛染パラパラに遭遇するとその二人は結ばれるといわれる。愛染祭りの帰りに芝居を見るとゲンが良い言い伝えもある。

祭りの期間中以外は閑静な雰囲気の境内だが、恋愛のパワースポットとして女性の信仰を一心に集める「愛染かつら」にも注目。樹齢数百年といわれる桂の木に、ノウゼンカヅラが絡みついた木が祀られている。その姿が、男性的な大樹の桂に寄り添う女性的なかずらとして見られていて、男女の縁を結んでくれる縁結びの霊木とされている。この霊木の前で語り合った男女は、何があっても幸せな結末が訪れるという伝説が残る。
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愛染さん(愛染堂・勝鬘院)