京都で「六道さん」の呼び名で昔から親しまれている六道珍皇寺。京の盆の始まりはこの寺の迎えの鐘であるのもおなじみだ。
はるか昔、六道珍皇寺は、葬送の地だった烏辺野(とりべの)のちょうど入口付近にあったことから、あの世とこの世、現世と冥界の分岐点、「六道の辻」と考えられていた。
『今昔物語』に登場するのは、六道珍皇寺の寺宝・梵鐘で、この迎え鐘が鳴ると精霊がこの世に呼び寄せられてよみがえるとも信じられてきた。
六道珍皇寺の本堂裏に2つの井戸がある。これが、小野篁が冥界に通った井戸との伝説が残る。また、境内の閻魔堂には、閻魔大王像と一緒に小野篁像が合祀されているのも、偶然の出来事ではなさそうな気がしないでもない。ただ現在、この井戸のそばまで行って見学することはできない。
なお、この六道珍皇寺の近くには、幽霊が夜な夜な飴を買い求めた伝説が残る「子育幽霊飴」を販売するお店があり、轆轤(ろくろ)町という地名はドクロ、つまりガイコツに由来するともいわれる。
大椿山 六道珍皇寺 公式サイト