全国に「川」と名がつく駅名は多いが、本当に川の上にある駅はとても少ない。首都圏だと、東急田園都市・大井町線の二子玉川駅、都営新宿線の東大島駅が有名だが、阪神電車の武庫川駅は、リアルに武庫川の上にあって迫力満点なのだ。
武庫川駅は、兵庫県尼崎市(東)と西宮市(西)かかる武庫川にあり、駅舎は川のそれぞれ両端に設けられている。そして、本線の上り線と下り線のホームはその川を「またぐ」形で設置されている、まさに水の上にある駅。その様子は、実際にホームに立つとよくわかる。
特に、上り線ホームの外はすぐ川で、吹きさらしの状態。通常でも水量が多い川の流れが、金網越しに目に見えてわかりやすい。高所恐怖症の人には少々ツライかも。
一方、下り線ホームの南側には歩行者用の橋が設置されている。これはかつて西宮市のほうに駅舎がなかった頃の名残で、当時は支線の武庫川線に乗り換える際、尼崎市側の改札を出て、下り線ホームに隣接した連絡通路を通って乗り換えていた。
もし可能なら、駅舎を出て少し歩き、駅全体を見渡してみてほしい。武庫川の河川敷から、武庫川駅がいかに川をまたいで設置されているかがよくわかる。そして、両方の駅舎のまわりには昔ながらの住宅地がギッシリと並んでいる。あくまで想像だが、武庫川駅の開業当時、ホームを設置する土地が確保できなかったのかもしれない。
なお、電車が走る、停車する線路の下はスカスカなので、万が一、ホームに物を落としたらそのまま川に落ちてしまう羽目になる。くれぐれも注意を。
阪神電車 武庫川駅