大阪市平野区に、由緒正しい寺でありながら、「地獄」体験ができる建物がある、なんとも不思議な寺があります。JR平野駅もしくは地下鉄谷町線平野駅から歩いて10分ほどの「全興寺」に行ってきました。
山門は一見、ふつうの寺と変わりないのですが、そこに(いかにも手作り感満載の)「ウソをつくと舌をぬくぞ」の鬼の看板が立っていて、境内に入ると、「地獄堂」「ほとけのくに」などの鬼の案内板を発見。それほど大きな寺ではないのですが、山門をくぐって右手にすぐその地獄堂がありました。
まず、入り口に「あなたはどこへ行くのか。極楽度・地獄度チェック」の装置が設置されていました。項目ごとにボタンを押していくと6レベルで極楽度・地獄度を判定してくれます(全興寺のホームページでもチェックできます)。思ったよりも大きな音量でさばきの音が流れるので、まわりに聞こえるのではとちょっと恥ずかしい気分になりました。また、入り口に張ってあるお寺からのメッセージもぜひ一読を。
そしていざ中に入ると、大人でもけっこう怖い世界が広がっていました。閻魔大王と大きな鬼が立っていて、「さいせん」の下にあるドラをたたくと地獄の世界が始まりました。閻魔大王と鬼の間にある円形の画面で地獄絵図がかなり詳しく紹介され、こどもなら泣き出してしまいかねない、トラウマにもなりそうなグロテスクさ(大人だって夢に出てきそうです)。最後まで見ていたら「地獄に行きたくない!天国に行くぞ!」と自分の行いを反省したい気分にさせられました。
地獄堂を出るとすぐ、地獄の釜の音が聞こえる石が置いてありました。その向こうには「ほとけのくに」もあり、地下に降りていくと、仏様の世界を描いた曼荼羅のステンドグラスもあり、地獄堂とは一転、“悟り”を開けそうな気分にしてくれ、なんだか癒されてしまいました。
地獄と天国が一気に体験できてしまう不思議空間、無料で楽しめる大阪の「珍」スポットなので、街あるきにもぜひ!
全興寺
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