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大阪にある人気観光スポット、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R)。通称USJを訪れる観光客は年間絶えないが、そのUSJの近くに一見変わった巨大なメルヘンチックな建物群が存在する。阪神高速湾岸線、また梅田スカイビル空中庭園展望台から見えることもあり、初めて見た人は誰もが「アレはなんだ?」と思うはず。しかも、その外観からUSJと勘違いして訪れてしまう観光客もけっこういるという。

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その建物は、大阪市の環境局「舞洲工場」と「舞洲スラッジセンター」。分かりやすくいうと、どちらも“ゴミ処理施設”。たとえば、舞洲工場では大阪市内から集められた可燃ゴミ、粗大ゴミを年中無休で焼却、処理などを行っている。外観からまったくイメージできないが、その内部は大阪市民でなくても誰でも無料で見学でき、近年は外国人の見学者も多いというので、一度この舞洲工場を訪れてみた。

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工場の内部は一般的なゴミ処理施設だが、見学者向けスペースがメルヘンチックにデザインされていたり、こども向けにわかりやすい展示パネルがあったりする。工場の機能や外観デザインなどに関する紹介DVDも見ることができるので、なぜこの建物ができたのかがよくわかる。

舞洲工場と舞洲スラッジセンターをデザインしたのは、オーストリア・ウィーンの芸術家、フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー氏。自然保護建築のデザインで知られ、舞洲工場は「技術、エコロジーと芸術の調和」をコンセプトに、建物のデザインと多くの緑に囲まれるよう工夫がなされている。フンデルトヴァッサー氏いわく「自然界に直線や同一物が存在しない」ということで、舞洲工場の壁や煙突も定規で引いたような直線でなく曲線が多く見られ、窓の配置も大きさもよく見ると一定でない(しかもすべての窓が本物ではない)

近くで見れば見るほど、芸術性の高さはよく分かる。誰でも自由に散策できるエリアで階段を降りる時、石畳に手すりも曲線で、まるで映画『ハリーポッター』の世界のようだとも感じた。

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ちなみに、オープン当時は「税金の無駄使い」と酷評された舞洲工場だが、近年はあまりその声は聞かれない(ように思う)。若木だった木々も10年以上経つと青々と茂り、建物のデザインも古臭さをまったく感じさせない。もともと工場がある舞洲エリアは大阪五輪の誘致のために埋め立てられて開発されたエリアで、五輪誘致が失敗に終わって以降、空き地がいまだ多く、有効活用されていないのも事実だが・・・

なお、工場の内部ではあらかじめ予約した見学者のみ、ゴミクレーンで大量のゴミが焼却炉に運び込まれる様子、外に有害な物質がもれないようにする装置などが窓越しに見学できる。子どもはもちろん、おとなもゴミを捨てるマナーやリサイクルの大切さなどを改めて認識できるので、足を運んでまったく損はない。
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大阪市 市民の方へ 舞洲工場の見学受付について