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スマートフォン・タブレットで遊べるゲームのアプリの一ジャンルである「位置ゲー(位置情報ゲーム)」。
GPSやリアルのマップを利用して、移動距離や現在位置をもとにゲームを進めていくもので、当サイトでもいくつか紹介している。


2013年12月からAndroid版、2014年7月からはiOS版がリリースされ、急速にユーザーを増やしているのがGoogleが開発したゲーム「INGRESS」である。
いちゲームアプリでありながら、「Googleが開発している」という点で、ただゲームをさせる目的以外に、普通のIQをもった人間では到底思いつかないようなユーザー情報の使いかたをされていそうだ。

アニメ「The Simpsons」では、そう遠くない未来にGoogleは世界の半分を奴隷にすると予言しており、INGRESSもその第一歩かもしれない。
でも面白いから、プレイヤーは増え続けているのだ。

 
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Search Engine Land”より


とにかく青とミドリのモヤモヤのとこに行くゲーム

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「INGRESS」の説明文は全て英語。そのうえ「エキゾチックマター」や「コントロールフィールド」など、聞きなれない単語が飛び交って出鼻を挫かれること間違いなしなのだが、やることは結局GPSをオンにして外を歩きながら青やミドリにモヤモヤしているところまで行ってボタンを押すだけだ。

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モヤモヤ(ポータル)は神社やモニュメント、道標などから湧いていて、その近くまで行ってボタンを押せば、何に使うのか全くわからないいくつかの道具と、その場所でボタンを押した証明(ポータルキー)がもらえる。

ゲームを進めていくと早い段階で気づくこのゲームの面白さは2点。「こんなところに池波正太郎の墓があったのか…」みたいな発見ができることと、結構歩き回っているのに何だか疲れない、ということだ。


陣取りゲームの面白さを味わえるのはきっとずっと先

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ゲームを始める時に、青組に入るのか緑組に入るのかを決めさせられるのだが、敵チームのモヤモヤをタッチしたときに、経験値がもらえる。こちらを貯めるとレベルがアップする。

青とミドリの他にたまに白いモヤモヤがあり、これを自分の物にして守りを固めたり、逆に敵の守りを崩して自分のチームの色に染めたりできるのだが、今から始めたプレイヤーがそういうことをできるようになるのはおそらくずっと先か、永遠に訪れないかのどちらかだ。

守るのも攻撃するのもそれなりにレベルが高くないといけないのだが、レベルアップの条件はとんでもなくたくさんの敵モヤモヤにタッチしなければならない。それなのにすでに敵に守られているモヤモヤのレベルはどれも信じられないほど高い。


INGRESSにハマる芸能人、伊集院光さん

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日本人のユーザーが今年8月あたりに不自然に増えているとすれば、それは伊集院光の仕業で間違いないだろう。
超人気ラジオ「月曜JUNK 伊集院光深夜の馬鹿力」の8月ごろの放送でINGRESSの話に触れ、北海道にまで遠征に行っているようだ。
北海道の大地に東京で拾ったポータルキーをいくつか落としていったというから、もし北海道でそれを見つけたらそれは伊集院光のサイン入りかも知れない。


これって「犬のマーキング」と一緒じゃないか

もう一つの難点が、このゲームをやっている間は必然的に“歩きスマホ”状態になってしまう点だ。すごく中途半端な場所で突然足を止めることもあるので、他の歩行者にとってはかなり迷惑な存在になっていそうなのが不安だ。

そこら中を歩きまわってスマホで位置をチェックし、そこに来たことを記録させるというこのゲーム。これって犬が散歩中にやっていることと一緒なのである。
そこら中を歩きまわって匂いを嗅いで位置をチェックし、そこに来たことを(小便で)記録させる…。ゲームをプレーしてみれば、飼い主に首輪を引っ張られてもマーキングをやめない犬の心が少しだけわかるかもしれない。

いま、世界中でGoogleの犬たちが小便をして回っているのだ。

(Photo by Taro the Shiba Inu
(Written by 笹川太志)