今春に公開された続編もヒットした、古代ローマが舞台の映画『テルマエ・ロマエ』。この映画の魅力1つ、それは個性的な登場人物たちにもある。特に筆者のイチオシは、劇場版で市村正親さんが演じたハドリアヌス帝だ。
ハドリアヌス帝は、古代ローマ帝国で五賢帝の1人として知られる。テルマエ・ロマエではローマの風呂に浸かってばかりいるイメージが強いが、ハドリアヌス帝の偉業は数多く現代にも伝えられている。
その1つで、現在にもその形をとどめているのが、イタリア・ローマにある「パンテオン Pantheon」。天才・ミケランジェロが「天使の設計」と賞賛した万神殿で、Panはすべて、theonは神を意味する。紀元前27〜25年にかけてアグリッパが創建し、118年にハドリアヌス帝が再建した。
実際にパンテオンを訪れると、まず、正面のまるで古代ギリシャ建築を思わせる堂々とした柱に圧倒される。そして内部に入ると、丸天井の頂上に天窓(直径9メートルある)があり、差し込む光がまた幻想的だ。ちなみに、芸術家として知られるラファエロ、イタリア統一に力を尽くしたエマヌエーレ2世らの墓もここパンテオンにある。
2000年も前に栄えた古代ローマ帝国の遺構がそのまま残るのは極めて珍しい。パンテオンは、今も完全なローマ建築がよく残る建造物として貴重なのに加え、見学が「無料」というのもうれしい。土日にはミサも行われている。ノースリーブや短パンなどの格好だと入場拒否されるのでくれぐれも注意したい。
(Written by AS)