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昔ながらの商店街が近ごろ、郊外型のショッピングモール進出に押され、店舗がどんどん閉店してシャッターが閉められたままの“シャッター通り”となってしまっている例は、全国で見受けられる。かつて商人の町として栄えた大阪も例外ではない。

大阪市南部にある「文の里商店街」は、地下鉄御堂筋線・昭和町駅と同谷町線・文の里駅の間にある小さな商店街で、昭和の雰囲気がただよう。ここで「商店街に貼ってあるポスターがなんかおもろいんやけど」と、地元でも話題になっていると聞いて足を運んでみた。

一見、普通の商店街のように見える。だが、店先に貼られたポスター、そのデザインとキャッチフレーズがたしかにスゴい。

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「いいムネあります」(鶏肉店)「アホにつける薬はあれへん」(薬局)「もうメイクの流行、三周してもたわ。」(化粧品店)「祝!高齢化社会」(整骨院)「店主がイチバン、ぴっちぴち。」(魚屋)――どれもその斬新なデザインとともにキャッチフレーズに、つい見入ってしまった。

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特に、シャッターに貼られていた2013年7月23日に閉店したという漬物店の「ポスター? はよ作ってや。死ぬで。」のキャッチフレーズは、強烈なインパクトがあった。“お漬れさまでした。”という漬物に引っ掛けたかのようなフレーズもお見事としか言いようがない。

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気になったのはこのポスター、いったい誰が制作したのか。大阪商工会議所のホームページなどによると、「文の里商店街ポスター展」として商店街活性化を目的とし、電通の若手コピーライターやデザイナー総勢60名がボランティアで52店舗約200枚のPRポスターを制作、2013年8月28日から12月31日までの期間中に同商店街に掲示したという。同年11月と12月には「文の里商店街ポスター総選挙」も行われ、同商店街とホームページ上でも投票が行われた(投票はすでに終了)。ちなみに、この投票でグランプリを受賞したのは上で紹介した漬物店「大嶋漬物店」で、キャッチフレーズ賞も獲得している。

郊外型のショッピングモールに加え、インターネット通販も盛んになるかたわら、地元密着の商店街は衰退していく一方。だが、この文の里商店街のように、世代を問わずウケる、注目を集めることのできる“アイデア”次第で商店街再生、活性化の道は開けるはずだ。たしかにこのようなポスターを見ると、店に入ってみたくなる気分にもさせられる。全国各地にある商店街のお手本ともなりそうなこのポスターの数々、2014年5月現在まだ貼ってあったので、ぜひ訪ね歩いてみて欲しい。

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文の里商店街

文の里商店街ポスター総選挙 - 大阪商工会議所

(Written by AS)