今年5月に公開したYou Tubeの動画が話題になったデアゴスティーニ。『2015年アイデアが枯渇』という見出しが躍り、分冊百科の企画アイデアを一般の人から賞金100万円で応募し始めるという内容で、動画内では企画アイデア出しに苦悩する社員の姿や、万策尽き果て神頼みまでする社員も。「誰かデアゴスティーニさんを助けてあげなよ」と、テレビやネットなどから多くのツッコミが入った。(もちろん動画のストーリーはフィクション。企画企画の幅を広げるために、一般の人や他企業と一緒にアイデアを練る、共創マーケティング戦略というビジネス手法)。
こうして5月13日〜7月20日にかけてアイデアを募集したところ、予想を大きく上回る4万6,541もの応募が殺到。そして11月、その中から最優秀アイデアマン1名、優秀アイデアマン7名がデアゴスティーニによって選ばれ、型破りで斬新なアイデアがてんこ盛りのアイデア紹介&授賞式が行われるという。どんなアイデアが集まったのか、筆者はこの授賞式への潜入取材を試みた。
 
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写真協力:takocchi / PIXTA(ピクスタ) 

式典で発表された受賞アイデアで筆者が“ぜひ集めたい”と思ったのは、なんと仏壇を作るという、週刊『マイミニ仏壇』。お灯明はLEDライトでエコ、遺影はデジタルフォトフレームでいつまでも色あせないという、近未来を思わせる仏壇とのこと。まあ持ち運びはしないと思うがミニなので持ち運びもできる設定とのこと。仏壇を作るという発想のユニークさももちろんだが、日本の狭い住宅事情にもピッタリかもしれない。
 

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写真協力:写真素材ぱくたそ イラスト協力:吉野ルカ
 
 また“これは面白い!”と思ったのは、漫画や韓流ドラマ、映画などにおいて胸がキュンとなったシーンを集めてそれぞれ解説をしていくとともに、それらのシーンが収録されたDVD付録が付いてくるという、その名も週刊『胸キュンシーン』。この本で疑似恋愛を体験できるという内容で、ターゲットとしては、女性ホルモンを活性化させたいと願う40〜50代女性。また女性向けとしてだけではなく、アプローチしている女性を何とか口説き落としたい男性にもおすすめなのだとか。合コンやデートの前に、どんなシーンで女性がキュンとくるのかをこの本で予習しておく手もありかもしれない。

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写真協力:DeAgostini Picture Library

そして今回、最も優れたアイデアとして選ばれたのは、週刊『動く立体世界地図』。

壁に張った世界地図にプロジェクションマッピングをあてると、国々の歴史が映像で浮かび上がるという現代のテクノロジーを駆使したアイデアで、アフリカから旅立つ人類の起源からはじまり、戦いながら領土を広げていくローマ帝国、大航海時代の航路など、世界の歴史を地図で学べるというアイデア。元々地図を作る会社として1901年にスタートしたデアゴスティーニの思いを表現するアイデアとして、社員の満場一致で選ばれたという。

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右が最優秀アイデアを考えたKMさん 左は村野社長

受賞者のKMさん(企画者の個人情報は明かせないそうなのでイニシャルで表記します)は“勉強になること”、“飾って楽しめること”、“最新の技術で作ること”、“自分が楽しめること”、“アイデアが尽きないこと”をモットーにこのアイデアを考えたとのこと。賞金の使い道を聞かれると、本を買って知を深めたいが受賞したら友人に一杯おごるという約束をしたのでまずは飲み代に消える、と答えていた。

その他も週刊『動物の足型』や週刊『一流のキャッチャーになろう!』などユニークなアイデアが発表された今回のアイデアマンアワード。式の最後には、受賞者の8名はこれから実際にデアゴスティーニの企画会議に参加し、商品開発メンバーとして協力する予定と発表され、受賞作品の商品化を目指していくという。

デアゴスティーニでは、来年の夏頃にも第二弾『週刊「〇〇」アイデアマン募集』を行う予定。これまで誰も思いつかなかったようなアイデアが閃いたり、“こんなものを作ってみたい”と着想したときにはぜひ応募して、デアゴスティーニさんを助けてみてはいかがだろうか。