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葬式の際に使用される遺影写真。
そんな遺影写真に日本で最も多くなっている男がいる。
その男こそ、飛鳥太郎氏。本名を、菅野修道氏。
そもそも、「遺影写真に多くなる」とはどういうことなのだろうか? 人間、そう何度もひとりで葬式ができるわけではない。
実は・・・彼は遺影写真専門のモデル。まさに日本で一番遺影写真になっている男といえる存在なのだ。

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しかし、なぜ菅野氏は、遺影写真のモデルになったのだろうか。その理由を彼は、「たまたまだった」と笑いながら話す。15年程前、アスカネットという当時としては珍しいデジタルを駆使して遺影写真を制作する会社に入社した菅野氏。「当時は会社も若い会社で、社員も20代、30代が中心でした。その中で私は50歳前ということで一番年上だったのです。遺影写真にするにはまだまだ若い方かもしれませんが、他の社員はもっともっと若い。だから私がモデルを引き受けることになりました」。

アスカネットでは、遺影写真の編集を行う。故人の記念写真を加工し、遺影写真として制作することもあるのだ。そのような事業のサンプルの作成用として、菅野さんに声がかかったというわけだ。
 
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「縁起が悪いかも?」という考えが全く頭の中をよぎらなかったわけではないが、「会社のためになるなら」との思いでモデルを始めることになった菅野さん。そしてモデルを続けて15年が経過。

今や、遺影写真だけでなく、故人を偲ぶビデオのサンプルや故人の自分史のサンプルにも登場。自分の葬式グッズが豊富に制作され、もはや自分がモデルになった遺影写真の枚数も把握できていないほどだという。
 
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また、菅野氏の遺影写真は、アスカネットのサンプルとして全国の葬儀屋に配布されていたため、自分でも知らないうちに同業者の間では有名人になっていたとか。あまりの人気ぶりに、「飛鳥太郎来る」というイベントを開催するほどに!

会場には女性ファンが押し寄せ、菅野氏に握手や記念撮影を求めていたという。その時のことを「いや〜、悪い気はしませんでしたよ。ちょっとした芸能人気分でしたねえ」と振り返る。

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そんなモデル生活も定年を機に、幕を閉じることになる。
この15年を振り返り菅野さんは、「遺影の大切さを身をもって知った」と語る。

「遺影写真として、定期的に写真を撮影し残しておくことをおすすめします。写真を撮っておくことと、周りに“これを使ってね”と言っておくことが大切。それから写真は更新していくことも大切。80歳で亡くなったのに、遺影写真が50歳だとちょっとねえ…」。確かに少し違和感を感じるであろうことは想像できる。

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「葬式の時の遺影写真が、肖像写真として、死んだ後もずっと残るんだから、良い写真を残しましょうね」とのアドバイスも。

素敵な遺影写真を用意しておくことは、自分だけでなく、家族や友人たちにとっても「良かった」と思えること。一度は遺影写真について考える機会を持ってみるべきかもしれない。