国内大手IT企業が、話題の巨大怪獣にあえて看板を破壊させることで自社のインターネット接続サービスを広めようとする内容のCMが先日公開された。
一見するといつもの同社お得意の“おもしろCM”だが、これは昔から行われていた広告手法のひとつを消費者にタネ明かしする内容となっている。
こちら以外にも、自社のブランドイメージを確立させるため、さまざまな企業があらゆる工夫をしてきた。

このような動きはもちろん日本国内に限ったことではない。
数値の上では4倍速の経済成長を続けている中国でも、企業の価値を高めるだけでなく、急速に成長する中国ならではの社会問題をも解決するコンテンツが注目されていたようだ。
スマートフォンの爆発的な普及によって、中国国内の広告手法はここ数年で変化してきている。

◆廃棄寸前の食材が激安ピザに変身!

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中国では年間に廃棄・浪費されている食材が、日本円にして3兆4,000億円にものぼり、この廃棄分は2億人が約1年間食べていけるほどと言われている。
この余剰食材廃棄に焦点をあてた上海の有名スポット「新天地」では、施設内の6つのレストランからその日に使い切れなかった食材を収集。毎日集まる食材を利用して「Re_PIZZA」というピザを作って販売した。
入ってくる食材は毎日、毎時間異なるので、トッピングの味は常に異なる。1カット5元(日本円で85円)で販売されたこのスペシャルピザは、2016年12月20日から6日間で1500人が購入した。売上はThe Grobal Food Banking Networkを通じて寄付され、約16,000人の食事を支援することができたという。数日間で活用された余剰食材は60kgに及んだ。
こちらの成功を受けて、今年は中国全土への展開が計画されている。


◆ナビゲーションの音声が家族の声になるアプリの狙いは…?



経済成長にともなって、中国では車両が増加し続けている。世界の先進国と比べて低いと言われる運転マナーも災いして、年間約10%ずつ交通事故件数が増加している。
この非常に大きな社会問題を改善させるため、自動車メーカーのシトロエンが開発したスマートフォンアプリが「Fami-Navi」だ。
「Fami-Navi」は、事前に録音しておいた家族の声を、音声認識技術と地図データと連動させることによりナビゲーションの音声へと変換させる。大切な人を乗せているときの運転マナーを常に意識させることで、安全運転への注意喚起をすることが可能となった。
この活動は多くの広告賞を獲得。中国国内外で大きな反響を呼んでいる。


◆空気が汚ければ汚いほど、マスクが安くなる

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日本でももはや春の風物詩となってしまったPM2.5。発生元とされている中国本土では、非常に危険な数値で空気中を漂っているにも関わらず、多くの人がその環境に慣れてしまってなかなか大気汚染への対策を行おうとしないことが大きな課題となっている。
暗い大気汚染問題の話題に、エンターテインメント性を持ち込んだのが、小林製薬と開発したWEBサイト「Air Pollution Discount」だ。
スマートフォンのGPS端末情報をもとに、該当エリアと時間に応じたPM2.5のデータをリアルタイムで取得。その濃度が高いほど割引率の高いクーポンが得られるというもので、マスクの割引券を通じて、ユーザーにPM2.5の汚染度に関心を持たせることを目的としている。


◆上海カフェチェーンで展開された“甘さが増す音”
中国に限らず、世界で大きな問題となっている砂糖の過剰摂取。肥満の原因になるだけではなく、老化や集中力の欠如にも影響があると言われている。
オックスフォード大学と共同開発された「sonic sweetener」は、特殊なメロディを聴きながら飲むと甘さをより感じるようになるというもの。上海の有名カフェチェーン「XIN CAFE」とコラボで展開され、溶け込んでいるため気づきにくかった飲料の砂糖量をより感じられるようになることで、健康意識を高めることを目指した。