10年いや20年は遡るのではないかと思える、エジプトの観光地で土産屋が日本人を見ると必ずと言っていいほど声をかけてくるこの言葉。先のアラブの春が起き、日本人観光客が激変した後に行っても結局、この「やまもとや〜ま、やまもとや〜ま」は、いまだに健在です。
しかも、「チャイニーズ?」とまず声をかけ、同行者が「ノー、ジャパニーズ」と返した途端に、「やまもとや〜ま」です。さらに、「あじのり、やきのりっ」というフレーズまで続きました。山本山、一体なんだろうという謎が、スフィンクスを見た直後に通ったお土産店の並びで、解けました。やはりあの高級海苔ブランド。
ただ、エジプトに滞在して一度たりとも山本山の海苔どころか、海苔そのものに遭遇したのはゼロ。ナイル川クルーズ船で毎日、朝食に和食が並んでいたのに海苔はなし。某作家がエッセイで同じシーンに遭遇したことで「山本山がエジプトへ社員旅行に行ったのでは」と書いていたものの、裏付けは取れなかった模様でしたし。
もう1つ気になった日本語のフレーズが「さらばじゃ」でした。遺跡の出口などで門番と目が合うと、言われました。意味は正しいような、しかしちょっと違う気も。エジプトで時代劇が流行ったのか、謎すぎ。ただこのフレーズも10年以上前にエジプトに行った知人も言われたとのことで、かなり前からあるようです。
エジプトの観光地で「客引き」のしつこさは定番といいますか、他国と比べても群を抜いている気がします。どの観光客に対してもとにかく「1ダラー、1ダラー」。すべての土産が1USドルなはずはなく、1ドルを出してもあとで本当のもっと高い値段を言います。それでも買うか断るかは、本人の自由。そんなもの、と思えてしまえば、気持ち的にかなりラクになります。
(Written by AS)