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今はあちこちで走っている50cc以下の原付バイクは、近い将来姿を消すと言われている。

西側諸国の厳しい排ガス規制に迎合する形で新車の開発が行われることと、50cc未満の原付一種は日本特有の法規制から生まれたいわゆる「ガラパゴス」規格で、日本における原付二種(〜125cc)が世界ではおおむね最小の排気量とされるなか、原付一種では将来の厳しい排ガス規制に対応することは不可能になるためだという。

先日アメリカが離脱を表明したものの、温室効果ガスの排出量が世界一の中国や4位のインドなど、これまで排ガス規制に消極的だった新興国も参加してる画期的な国際合意であるパリ協定にかかわる取り組みが、各国で行われている。
このような世界の流れによって、排ガス規制の波はバイク乗りだけでなく多くの一般家庭にとっても意識を変えるきっかけとなりそうだ。

昨年4月からはじまった電力自由化によって、それぞれのライフスタイルにあった電力会社を選べるようになった。
電力会社を選ぶ場面において、多くの人は電気料金がより安い会社や付属の特典が優れた会社を探しているだろう。
しかし、電力会社の選び方によっては、一般家庭でも温室効果ガスの排出を抑えることができるのはご存知だろうか。

東京電力エナジーパートナーが6月1日に創設した関東エリアの一般家庭に向けて受付を開始している料金プラン「アクアエナジー100」は、電力使用によるCO2の排出量をゼロにできるという。
同プランは水力発電によって発生した電力のみを使用する日本初の電力メニューで、これによって一般家庭でCO₂排出量ゼロの水力発電から生まれた電気を使用することができる。

そうは言っても、厳密に水力発電で発生した電力だけが契約家庭に流れるわけではない。
各家庭に電力を送る送電線はひとつで、もちろん発電された方法や場所によって異なる色や匂いが付いているわけでもない。

「アクアエナジー100」では、水力発電で発電される電気量が契約家庭で使用する電気量の総量と同等以上となるように設定し、これをもって契約者が水力発電のグリーン電力を使用しているとみなす。
水力発電の発電量が契約家庭の使用電気総量を下回っていないかどうかは、常に確認をしながら運用されており、契約者もWEBサイトで確認をすることが可能だ。
つまり、水力発電量によって契約者数が限られる。2017年は3万軒程度に限定して同プランを提供する予定だという。

さらに再生可能エネルギーの電気を使うことの特典はエコライフを送れることだけではない。
水力発電を有する地域での農業収穫や、文化体験など発電地域と一体になった体験イベントを、契約者を対象に展開する。
水力発電所立地地域のひとつには尾瀬ヶ原を有する群馬県片品村があり、9月には尾瀬ヶ原に現れるシカの生息実態調査体験などを予定しているという。

気になる料金だが、例えば30Aで月290kWh使用した場合、従来の電気代は7,604円で、同プランは8,438円。当然割高になるが、平均的な電力消費量の家庭であれば1,000円弱でエコエネルギーに切り換えられると思えば、地球環境に意識を向けている人にとってはたいした金額ではないのかもしれない。

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同社が事前に行ったアンケートによると、再生可能エネルギーに関心があって、それが割高でも購入したいと答えた人は全体の8.4%だった。同プランの対象地域はおよそ1800万世帯で、そのうち157万世帯がエコライフのために割高な電気料金を払ってもいいと考えているのに、前述の通り今年の提供軒数は3万軒。希望者が殺到するプランとなりそうだ。