ユースオリンピックは参加選手を14歳から18歳を対象としている国際総合競技大会で、第3回となるブエノスアイレスの夏季大会では空手、クライミングスポーツ、そしてダンススポーツが採用されることが正式発表されている。
ブレイクダンスは、ダンススポーツ種目として、いわゆるダンスバトルの形式で競われるようだ。
ブレイクダンス文化の発展に務め、自身も現役でブレイクダンスのプレイヤーであるIAM代表取締役石川勝之(a.k.a. KATSU1)氏の解説によると、ブレイクダンスは70年代ニューヨークのスラム街のキッズの間で広まっていた文化のひとつで、グラフィティアートやDJ、ラップとひっくるめてヒップホップと呼ばれる。もともと、ブレイクダンスは“ブレイキン”と呼ばれているのが一般的だったが、メディアに広まる段階でブレイクダンスと呼ばれるようになり、こちらのほうが主流の呼び名となってしまった。
そして、ブレイキンのプレイヤーのことをBBOYと呼ぶ。ビーボーイといえば、日本では90年代からダボダボの大きい服にキャップ、グラサンにメタルのごついアクセサリーといったワルっぽいファッションを指す言葉として認識されてきたが、正しくはブレイキンのダンサーのことを指すワードだったのだ。
ブレイキンは世界で最も人口の多いダンスだと言われているが、ダンスで生計を立てていくことは難しい。プロの定義は曖昧ながら、スポンサーが付くほどのプレイヤーとなるか、バックダンサーか、インストラクターとなるか、それだけで生きていける道は限定されていた。
現在でも厳しい部分はあるものの、国内外で開催される多くの大会に自由にエントリーすることは誰にでもできて、実力があれば実績を積むことが可能。情報収集が容易になった今、あらゆる角度からBBOYのプロとして生きていくチャンスが眠っているのだ。
いっぽう日本のブレイキンの水準はというと、かなり高い。
ブレイキンの世界大会である「Battle of the year」に2年連続で優勝している上、キッズのBBOYも層が厚く、日本は“ブレイキン大国”の様相を呈している。
あとはプロを目指すための実力が必要となるわけだが、実践力を重視した教育を行うバンタン高等学院が2018年4月から「ブレイキン専攻」を開校。中学を卒業した15歳から入学し、高校卒業資格の取得に必要な一般科目を学びながら、BBOY養成に欠かせないダンスや英会話などの技術を取得できる。
6月13日に生徒募集開始の記者会見が行われ、前述のKATSU1氏のほか、「Battle of the year」に2年連覇しているTAISUKE氏とSTEEZ氏が登場。世界一となったBBOYが、ブレイキン専攻の講師を務める。
前述のとおり、“ブレイキン大国”である日本には充分な育成環境と実力者が揃っており、2018年のユースオリンピックではリアルにメダルを追える位置にあるようだ。
先のラグビーワールドカップで日本代表チーム好成績を残したとき、一気に注目を集めたが、ユースオリンピックでのメダルをきっかけにブレイキンも注目を浴びて、2018年の冷凍チャーハンのCMにはBBOYが出演しているかもしれない。