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今回、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターの感染症専門医・薬剤師・看護師が講師の先生となり体験参加型の「保健出前授業」が新宿区立戸塚第一小学校で3月13日(火)開校されました。6年生の保健の授業の一環として、増え続ける薬剤耐性(AMR:病原体が変化して抗菌薬・抗生物質が効かなくなること)に関する現状や対策を広く伝える啓発活動です。

今日のテーマは「感染症と薬について学ぼう」。寒い冬から春にかけての季節の変わり目は、体調が崩しやすい季節です。そんな抵抗力が弱まる時期だからこそ、正しい感染予防対策を身につけより充実した学校生活に送ることを目的とします。この出前授業を行うことで、児童たちの感染症や薬においての意識が高まり AMR臨床リファレンスセンター(厚生労働省委託事業)の啓発活動へとつながっていきます。

感染症と病原体の話 〜よくある感染症と病原体〜

 <薬の話 抗菌薬、抗生物質について>
最初に、講師の先生がウイルスと細菌の違いについて説明をしてくれました。

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・細菌とは
目でみることのできないとても小さな生物です。細胞は1つしかないので、単細胞生物と言われています。人の体に侵入して悪いことをする菌もいれば、納豆菌のように良い菌もあるのが特徴です。病院で処方される抗菌薬(抗生物質)は、これらの細菌を退治する薬でもあります。

・ウイルスとは
細菌よりもはるかに小さく、簡単に人の体の中に侵入してしまいます。体の中にウイルスが入ると、細胞に侵入し自分のコピーを作ろうと働きます。つまり、ウイルスは増殖してしまうのです。インフルエンザウイルスなども同じ仕組みです。
ウイルスには抗菌薬(抗生物質)は効きません。抗ウイルス薬があまり多く開発されていないのが現状です。

児童たちはこの話を聞いて、ウイルス菌の怖さに驚いている様子でした。先生はこれらのことを踏まえ、病院で処方される薬は最後まで飲みきることの重要さを講義しました。児童たちは改めて、病院薬の大切さを理解したようでした。

 <予防の話 手洗い実習・マスクの付け方>
ウイルスや細菌に負けないようにするには、普段の生活の中で予防対策を習慣化することが大切であると児童たちに伝えました。その予防の第一歩となるのが、手洗いの習慣です。

・正しい手の洗い方
水で手をよく濡らし、せっけんをくるくると泡立てます。手のひら、手の甲、指の間、指先と爪、親指を意識しながらもみこむようなイメージで洗います。この時、忘れてはいけないのは、手首までよく洗うことです。水でよくすすぎ、ハンカチで水気をよく拭き取りましょう。

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授業の中で、児童のみなさんが普段どれだけ手洗いがきちんとできているかを調べるため蛍光塗料を手に塗り実験してみました。

ハンドクリームのようなものを手によく塗り、いつもの手洗いをしてもらいます。水気をよく切り、ブラックライトを当てると洗えていないところに色がつく仕組みです。

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児童たちは「わーすごい!爪の間が光ってる」「手の甲が意外と洗えていなかった」と驚きの声をあげていました。

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そして、次に予防策として先生がレクチャーしてくれたのがマスクをするという習慣です。誰かがまわりで咳やくしゃみをすると、ウイルスはまわりに飛び散ります。そのウイルスを口や鼻から吸い込んだり、ウイルスに触れた手で体の粘膜に触れると感染してしまうのです。この感染を防ぐためにも、マスクでの予防は重要であることを講義してくれました。

・正しいマスクのつけ方とは
マスクのゴム紐を広げ、プリーツ部分を上下に伸ばしマスクを完全に広げます。そして顔にあてがい、鼻の針金部分をぴったり合わせます。顎までしっかり隠れるよう、顔を覆うことが大切です。

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また、まわりの人を気遣うエチケットとして、咳やくしゃみをする際はマスクをすることはもちろん、ハンカチやティッシュなど口や鼻をおさえる配慮も忘れてはいけないことも児童に伝えました。

授業を終えた児童たちは「知らないことがいっぱいあった」「手洗いの実験がすごく楽しかった」「マスクの大切さがよくわかった」など、体験型授業にとても満足している様子でした。