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インターネットやSNSなどの普及によって、最近のテレビ番組はながら見の存在とまで言われるようになってきた。しかしそんなテレビとネット住民たちを繋いでいるのが「実況」である。テレビの放送内容をネットを通じて共有するというもの。例えば某巨大掲示板には、テレビ局ごとに専用のスレッドが立ち、放送中の番組に対して自分の意見や感想をコメントし、ネットを介して未知数の「実況民」たちとコミュニケーションをとっている。最近ではツイッターのハッシュダグを利用して、複数のユーザーたちと一緒に見ている瞬間が楽しいなど、このテレビ番組実況が一般的されてきたような気がする。今の時期だとワールドカップ中継など、番組によっては異常なほどこの実況が盛り上がってしまい、コメントが集中しサーバーに負荷がかかり、鯖落ちなんて現象も珍しくはなくなってきた。一番有名なもので天空の城ラピュタの例の瞬間が実況民たちによる鯖落ちである。このようなワールドカップやジブリなど一過性の流行には目もくれず、一年365日ほぼ実況板に常駐、今も番組の実況を続けるプロ実況民たちがいる。

ほとんどの人が寝静まった夜中、おそらく誰も見ていないであろう時間に、この実況民たちがぞろそろと集まってくる番組がある。NHK総合で夜中に定期的に放送されている「地球でイチバンの海の楽園と神秘の島 海と島編〜セーシェル諸島・ヤップ島〜」という番組。おそらく多くの人が初めて聞く番組名かもしれないが、ウユニ塩湖やアカマタ砂漠など、地球上の様々な「イチバンの地」を訪ねる紀行ドキュメンタリー。深夜のゆっくりとした時間に放送されるだけあって、ナレーションも無く美しい景色と音楽だけの贅沢な番組に仕上がっている。その中でもこの「ヤップ島」という回が特に実況民たちに高い人気を誇る。おそらく現在日本で唯一、地上波で編集なしのおっぱいを拝むことが出来る番組として、コアなプロ実況民たちが熱い視線を送っている。

夜中の3時頃、どこで集合がかかるわけでもなく、放送予定をチェックして自然と集まり出す実況紳士たち。不定期放送ながらヤップの放送に出会えた時の感動は大きい。ミクロネシア連邦の西端に位置するヤップ島。この番組では現地の村人たちの暮らしや、島名物の石のお金などが紹介される。基本的に放送は2時以降もしくは3時前後に開始されることが多いのだが、開始から約45分経過した頃に、小舟を海に出し糸釣り始める漁師さんのシーンが始まる。これがプロ実況民たちの仕事が始まる合図、このタイミングでコメントが加速するのがこの番組実況の定番になっている。村人たちが祭りの儀式を執り行うために、身だしなみを整え始めるシーンが開始されるのだが、ここで注目したいのは、褐色の美少女たちの生乳が普通に映っているのである。ヤップの伝統衣裳に身を包み込む少女たちだが、完全な素材不足なようでもう上は裸である。この時間に集まる熱心な実況民たちの目的はこれ。国営放送が深夜に未成年の女の子の上半身の裸体を惜しげもなく放送というありがたい内容、これを見に来たプロ実況民たちは紳士的に実況を行う。

しかし残念なことに、この番組はあくまでも放送時間の調整のために放送されることが多く、最近では途中で「みんなのうた」が始まってしまう事が多い。少女たちの裸体を鑑賞していた熱心な実況民たちは、どこにぶつけていいのか分からない怒りを「〇〇」に抗議してくるなど、全く関係のないテレビ局に苦情入れて来るなどコメントするのがこの流れの定番になっており、これもまたヤップ島実況の醍醐味でもある。そのためほぼ裸体に近い少女たちの踊りを最後まで放送してくれる回、通称「フルヤップ」は実況民たちに大変喜ばれている。

そして番組が終了するとほぼ午前4時を過ぎていることが多い。翌日朝から仕事の人が多いのに、お互いの顔も名前も知らない実況民たちが大量にネット上に取り残される。同じ放送を顔の見えない複数の同士たちと同時刻で共有一喜一憂する。これがテレビ実況の最大の楽しみ。彼らは次回のヤップでの再開を誓い解散していく。新参はここで落ちていくのだが、古株のプロ実況民たちはそこから「調整」「敬礼」と欠かさず実況、一日の業務を終えることになる。これこそ実況民たちのプロフェッショナル。夜中ぼんやりNHKを観ている時にヤップ島が始まったら、ネットに常駐する実況民たちの仕事ぶりに注目してみるのはいかがだろうか。