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設立100年の繊維商社が行うオーガニックコットンプロジェクト

名古屋を拠点に、設立100年目を迎える繊維商社、豊島株式会社。もともと綿商からはじまったこの企業が、2006年から取り組んでいるのが、オーガニックコットンを通して、環境問題や社会問題を考えていこうというプロジェクト「オーガビッツ」だ。
 
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アパレルでも多く使われる綿素材。その原料となる綿花の栽培には、通常、多くの殺虫剤と農薬が使用され、土壌汚染はもちろんのこと、農家の健康被害にも大きな影響を及ぼしてしまう。それを少しでも改善しようと、栽培されているのが、「オーガニックコットン」。農薬や化学肥料を3年以上全く使用していない農地で、有機栽培された綿花のことを指す。

このオーガニックコットンを、普及させようという想いでスタートしたのが、「オーガビッツ」と名付けられたこのプロジェクト。通常の綿花より価格が高いということもあって、敷居の高いイメージのあるオーガニックコットンを、もっとカジュアルに使うことで、普及させたいという想いで、さまざまなアパレルブランドとタッグを組み、アイテムに取り入れている。

このプロジェクトでユニークなのは、通常、オーガニック製品は、なるべくオーガニックの割合を多く、純度を高めていこうとする風潮がある中、1着の使用量を100%にすることにこだわらず、10%の商品を100倍の人に届けようとする「逆転の発想」。みんなで爐舛腓辰鉢瓩困張ーガニックコットンを取り入れることで、爐舛腓辰鉢瓩困鎮狼經超や生産者に貢献しようという考え方だ。


オーガニックコットンに手で触れて身近であることを感じるスワッグ作り

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8月某日、東京都内では、この「オーガビッツ」のイベントが行われ、花生師の岡本典子さんを迎えて、スワッグ作りのワークショップが行われた。岡本さんは、冒頭でこんなふうに話してくれた。

「私も子どもが生まれてから、食べるものなどには特に気をつけるようになりました。でも、全部完璧にオーガニックにしようと考えだすと難しくて。だから、ちょっとでも知ることや意識することから始められるというオーガビッツさんの考え方には、とっても共感したんですね。今回は、肌に触れても嬉しいコットンを、身近な飾りとしてご紹介します」

そう、今回のスワッグの花材には、ドライにしやすい生の素材を中心に選ばれたが、中には豊島株式会社の社屋で栽培されたというオーガニックコットンの枝も。少し割れた実からふわふわのコットンが顔を出している。

「スワッグは、生花の状態で作って、ドライになっていく過程も楽しんでいただけたらと思います。お花って、散りゆく姿もまた色気があって素敵です。コットンは、触っていただくと、すでにカサっとしていると思いますが、ドライに向いているお花なんですよ。時間が経つと、乾燥して実が弾けて、コットンがよりふんわりと顔を出すと思います」
と、岡本さん。
 
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さまざまな形や色や大きさの植物を、感覚を研ぎ澄まし、植物と会話するようにして束ねていく。その作業は、シンプルなだけに難しく、そして夢中になってしまう。最後に、束ねるポイントに綿花の枝をやさしく添えて、参加者それぞれのスワッグは完成した。


素材にまつわるストーリーを店員から消費者へ丁寧に伝えることで価値を上げていく

イベント会場には、今までオーガビッツがコラボレーションしたアイテムやオリジナルブランドのアイテムが並ぶ。Tシャツやシャツ、パンツ、バッグ、雑貨小物まで幅広い。それもそのはず、今までにコラボレーションしたアイテム数は、約100ブランド、累計684万枚以上だという。
 
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豊島株式会社の営業企画室室長 永井氏は、オーガビッツの取り組みについてこう語ってくれた。
「この取り組みは、ブランドさんと一緒に消費者に届ける活動です。だから、最初は、綿の生産現場で起こっていることやオーガニックコットンにすることの意味、そして我々の想いというものを、ブランドさんにお話して共有するところから始まりました。それが、店員さんを通じて、消費者のみなさんに伝わることで、オーガニックコットンの入っているものを買ってみようという興味につながればいいなと思っているんです。世界的に見ると、日本のオーガニックコットンへの認知や興味はまだまだかもしれません。でも、気軽に手に取れるところから、まずは接点を持っていただけたらと思います」

オーガニックは、身体にいいとか使う人にとっていいというよりも、思考のあり方。だからこそ、知ることが大事なのだ。この素材にはどんな背景があるのか、そのストーリーを知ることができれば、ちょっとずつの関わりがいずれ、大きなものを動かすことになるかもしれない。オーガビッツのささやかな想いは、きっと、多くの人に届き、育っていくに違いない。