それもそのはず、ボルドーワインは世界で年間約6億7500万本も生産され、
日本では2000万本が飲まれているという、ワインの一大産地である。
そんなワインの聖地ボルドーから、このたび生産者2名が来日し、
ボルドーワイン委員会主催による「Welcome to Bordeaux House」と題されたセミナーが25日に行われた。
このイベントでは、生産者が直々にライフスタイルのシーン別に“食”とボルドーワインのペアリングについて教えてくれるという。
会場となった渋谷の「TRUNK HOTEL」はいま最先端のイベントがこぞって開催されている話題のスポット。
会場に着くと、まずその華やかな空気感に圧倒された。
セミナーというからにはパイプ椅子に着席スタイルを想像していたが、
通されたのは、なんとスイートルーム。
部屋中を彩るバルーンに、ほとばしるおしゃれホームパーティー感。
“お掛けください”と言われるがままにふっかふかのソファーに腰掛けると、
テーブルを囲んで初対面の方々といきなり向かい合っているではないか。
いきなりステーキならぬ、”いきなりパーティー”である。
(しかも帰国子女がやるタイプのやつ)
カメラを抱えてそわそわするしかない、場違いな筆者。
緊張で飲む前からすでに顔が「ボルドー色」だ。
そうこうしているうちに、イベントはスタート。
まずはボルドーワイン委員会の広報担当セシル・アさん(下写真左から2番目)が、生産者2名を紹介。意外にも2人ともそのへんにいそうな若い女性で、
あまり”ワイン生産者”という雰囲気ではない。
だが聞くと、バサリーヌ・デスパーニュさん(メイン写真左)は、3代前からボルドーワインを造る老舗『デスパーニュ家』に生まれ、
25歳の若さでシャトーを引き継いだというバリバリのサラブレッドだという。
『デスパーニュ家』といえば、漫画『神の雫』にも出てきた“Mont-Perat(モン・ペラ)”が有名。漫画では、あの「『オーパス・ワン』と同じくらい美味なのに、手の届く値段」として紹介され、日本でたちまち大人気となった銘柄である。
そんな有名シャトーの経営を担っているとは言われなければ全くわからない、
フランクな雰囲気の女性である。
セシル・アさんいわく、“ボルドーワインはかしこまった紳士のものというイメージがあるが、最近は彼女たちのような、若い女性の生産者が増えている”という。
一方のアメリ・オスモンさん(メイン写真右)は、以前はワイン業界とはまったく関係ない「インテリア」の仕事をしていたが、夫と参加したボルドーのワイナリーツアーで衝撃を受け、一念発起してワイン造りの道へと飛び込んだ。
そして修行時代を経て、ローマ帝国時代から続く歴史あるシャトー『LE CLOS DU NOTAIRE』 の所有権を取得。3年前からワイン造りをスタートしたというボルドー期待の新人だという。
・・・と、美味しそうなワインとおつまみを目の前にしながらしばらく「おあずけ状態」をくらっていたが、ようやくお待ちかねの「マリアージュ」タイムがやってきた。
“どんな料理と組み合わせるかが、ワインの楽しみ”と語る主催者が用意してくれたのが、こちらのペアリング。
まずはデスパーニュさんの赤ワイン『シャトー・モンペラ・ルージュ 2015』と、「鴨&イチジク」「サーモン&イクラ」などのフィンガーフードの組み合わせ。
一瞬「サイモン&ガーファンクル」が脳裏にちらついたが、「サイモン&ガーファンクル」はフィンガーフードではない。
冗談はさておき、モンペラは“特徴の違う品種を組み合わせていて、なんにでもあわせやすいワイン”というとおり、黒系果実のフルーティーな香りが広がり、とにかく飲みやすい。
嫌いなはずのイクラをいつの間にか平らげていたのは、緊張からか、マリアージュの仕業か。
次に、“マリアージュは視覚も重要”ということで、パーティーに最適なロゼ「クレマン・ド・ボルドー・ジャイヤンス・ブリュット」と、マカロンを合わせるピンク色同士のコラボ。もちろん味も言うことなし。私とピンクの相性の悪さ以外は、完璧なマリアージュである。
ちなみに、ロゼのほんのりと赤みがかった色合いは、
ぶどうの果皮と接触する時間を調節することによって出しているという。
そしていったん部屋を変え、「記念日を印象づけるワイン」というテーマのセミナーに。まずは『シャトー・ド・ベル』のロゼと、「ルビーカカオのタルト」をいただく。
ボルドーのロゼは、“BBQやピクニックなど、よりカジュアルなシーンで楽しで欲しい”とのこと。
次に、今回限定で日本未輸入のオスモンさんのシャトーLE CLOS DU NOTAIRE の赤ワイン『NOTARIS 2015』をいただけるというラッキーな展開に。
まろやかで丸みを浴びた味わいの『NOTARIS』を、濃厚なビターチョコレートと合わせる。赤ワイン=お肉というイメージがあるが、スイーツともバッチリ合うことがわかった。
今回のセミナーで、広報のセシル・アさんがしきりに強調していたのは、『マリアージュにルールはない』『堅苦しいイメージを打ち破ってもらいたい』ということ。
なにも特別な食事と組み合わせなくても、普段の家庭で食べているものと自由に合わせていいのだそう。
普段の家庭で食べているものといえば、
赤ワインとペヤング、赤ワインと緑のたぬき、ロゼと納豆巻き、、、
おっとこれは筆者の極端な例だ。
みなさんもワインと日々の食事とのペアリングを、色々試してみてはどうだろうか?いままでのワインのイメージを覆すような、新しい発見があるかもしれない。