ゴッホ映画ポスター

中国に油絵村と呼ばれる場所があるのをご存じだろうか?
広東省深セン市の大芬(ダーフェン)は、有名画家の複製画を主産業としている村。1989に年香港の画商が20人の画工を連れてきたのをきっかけに現在では1万人を超える画工が働いており、年間数百万枚の複製画がこの街から世界に売られているという。

そんな大芬で20年間以上ゴッホを描き続けてきた趙小勇(チャオ・シャオヨン)が本物のゴッホの絵に会いに行くドキュメント映画「世界で一番ゴッホを描いた男」を見てきた。

◆あらすじ
複製画制作で世界の半分以上のシェアを誇る油絵の街、中国大芬(ダーフェン)。出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けている。絵を描くのも食事も寝るのも全て工房の中。いつしか趙小勇はゴッホ美術館へ行くという夢ができた。本物の絵画からゴッホの心に触れて何か気づきを得たい、今後の人生の目標を明確にしたいという思いと共に。
どうしても本物のゴッホの絵画を見たいという想いは日増しに募り、ついに夢を叶えるためにアムステルダムを訪れる。
本物のゴッホの絵画を見て衝撃を受けた趙小勇はいつしか、自分の人生をゴッホの生き様に写し合わせ、何をすべきか自分を見つめ直すようになる。果たして自分は職人か芸術家か。思い悩んだ趙小勇はある決断をする―。
(「世界で一番ゴッホを描いた男」公式サイトより)

ゴッホ映画予告編

仲間や家族と一緒にいるシーンを見る小勇の印象は人の良さそうな笑顔が素敵なおっちゃん。
そんな、小勇がアムステルダムで高級な画廊で売られていると思われていた自分の絵が土産物屋で愕然とし、ゴッホ美術館で本物のゴッホの絵を見て衝撃を受け、ゴッホの絵の舞台になったカフェテリアに行き感動する・・・そして、自分は職人なのか芸術家なのかという問いに葛藤する。見ている自分たちにも小勇の葛藤が伝わってきて、そして芸術とは何かという答えの出ない問いについても考えさせられる映画だった。

映画の中でも触れられていたが、中国国内の物価が上がっていることもあり、決して複製画の仕事は楽ではないらしいが、この映画の影響で人気が出て小勇の絵は以前より高値がつくようになったそうだ。

小規模上映でしかも10月20日公開開始ということもあり、すでに公開終了している映画館も多いが、12月に入ってから公開を始めるところや、1月以降の公開を決定した映画館も多いので興味がある方は映画の公式サイトをチェックしてほしい。

【動画】予告編

【公式サイト】


(Written by 山崎健治)