これはグーグルのチーフ・エコノミストであるハル・ヴァリアン氏が2009年に発した言葉。
それから10年、世界的に統計学に対する理解や関心が高まる一方、毎月勤労統計の不正問題など統計学が軽視されているとしか思えない状況もある。
統計学を用いた調査の結果、今まで常識だと思われていたことが覆ることがある。その一つが、「小太り」の人が最も長生きになるということだ。
2009年に厚生労働省の研究班が発表した5万人を対象とした大規模調査によると、普通体重(BMIが18.5〜25)の人の平均寿命は男性が79.94歳、女性は87.97歳。それに対し、太り気味(BMI25〜30)の人の平均寿命は男性が81.64歳、女性は88.05歳と小太りの人の方が長生きという結果になった。
さらに、国立がん研究センターが2011年に行った35万人以上のデータを元にした調査によると、死亡リスクが最も低いのはBMI25〜27という、やはり標準体重を少しだけ超える小太りの人が一番長生きしやすいという結果になっている。
そして、米疾病対策センター(CDC)のキャサリン・フリーガル氏らの研究チームによる成人280万人の健康に関する情報を分析した調査でも同様の結果に。
この調査でも、BMIで「太りぎみ」に分類されたグループのほうが、「普通体重」とされたグループよりも死亡リスクが6%低いという結果になっている。
以上からもわかるように、多くの調査で小太りな人が最も長生きになるという結果になっているのだ。
もちろん太りすぎはよくないのは事実。しかしそれと同じくらい痩せすぎもよくない。痩せる必要がないのに無理なダイエットをするのは命を縮める行為だよ。
【出典】
2009年6月10日「読売新聞」
2016年5月16日「PRESIDENT」
2013年1月4日「AFP通信」(http://www.afpbb.com/articles/-/2918976)
(Written by 山崎健治)