ドリームス表紙

『Dreams』は七三太朗さん原作、川三番地さん作画の野球漫画。1996年から、20年に渡る長期連載で、途中に週刊少年マガジンからマガジンSpecialへ移籍を挟みながらも、単行本の累計売上は800万部を記録。

物語は2017年1月をもって完結している。全71巻。
アニメ化はされていない。

物語の大まかな あらすじとしては夢の島高校にやってきた主人公の久里武志。野球の才能はあるのにあまりにも素行が悪く乱暴で、いわゆる不良学生。彼は苦しみを乗り越えながら、さまざまな「魔球」を生み出し、ピッチャーとして大成。非常識な戦法の野球で強豪校と戦う、というお話。
やさぐれていた球児が波乱万丈な野球生活を送りながらも大切なことを学んでいき、心身ともに成長していく過程を描いたサクセスストーリーだ。


TBS系列『水曜日のダウンタウン』にて日本一時間の進みが遅い漫画として認定され、話題に

2016年12月21日放送の『水曜日のダウンタウン』にてトータルの連載期間と物語の中での時間経過から算出した連載1年で進む日数が遅いランキングが発表された。
『Dreams』はなんと連載期間20年を要したにも関わらず、実際の物語では10か月しか経過していなかったことが判明。そして連載1年で進む日数は僅か15日であり、2位の『なんと孫六』の22日を突き放す形で1位を獲得している。

もし物語がこのペースのまま進んでくと主人公が高校を卒業するまで52年かかる計算となる。

進行ペースが遅い要因としては、とにかく試合中における繊細な描写や心理描写などが豊富に盛り込まれており、ゲーム自体が1ミリも進まず終える回も結構あり、夏季甲子園大会準々決勝の試合においては6年に及ぶ連載期間を費やした。


物語はなんと連載誌のマガジンSpecialの休刊によって無茶苦茶な展開で終わりを迎える・・・

破天荒な戦術や魔球を繰り出すことで人気の物語だが『マガジンSPECIAL』2016年No.10に掲載された展開では、甲子園準決勝にて相手チームの姑息なやり方に主人公の投手・久里武志がブチ切れ、「デッドボールもよーーールールのうちだろうがよーーー」と7者連続死球の山を築き上げ、見事に退場。

その様子を見かねた高野連(高等学校野球連盟)の会長から久里は高野連に所属していなかったという異例の発表が。そして、最後にはなぜかいきなり、ライバルキャラクターである生田庸兵が子供を救おうとして突如、命を落とす。
その後久里は理事長にお前は高野連に存在しない(所属してない)から16歳でメジャーに行けると言われメジャーへ挑戦し、天下を目指すという幕切れだ。

これらは連載誌『マガジンSpecial』が、2017年1月20日発売号で休刊となる影響を受けたものとみられ、これまで同作を読み続けてきたファンからはさすがにネット上などで不満の声が続出。
20年熱心に読み続けた愛読者はさぞかし裏切られた気持ちとなっただろう。

だが、野球のルールにおける盲点や奥深さを緻密に描いた丁寧な作品ではあるのでコアな野球ファンなら一度は手に取ってほしいと思う。

【出典】
『ねとらぼ』:2016年9月22日
『コミックナタリー』:2017年1月20日