マレーシア南部に生息すると「ドゥンドゥビア」というセミは、ペタイツリーという木に群れをなして生活している。この木はマレーシアの木の中でも多く水分を含んでいるため、水分を吸ったセミは雨のように大量のオシッコを降らせてしまうのだという。
日本では考えられないほどの無数のセミが1本の木に群がり、次から次へと途切れることなくオシッコ噴射が行われる。多い時には一本の木に数百ものドゥンドゥビアがいて、そこから降り注がれるオシッコ噴射はまるでシャワーのような光景になってしまう。
セミは敵から身を守るときに有利になるためこのように集団になる生態があるが、研究者によると、このペタイツリーに多く集まるのは、木から放出される化学物質がセミを惹きつけているのではないかという。さらにこのペタイツリーには独特の芳香があり、殺菌効果がある可能性が高いとされ、この木の水分を多く吸ったセミのオシッコにも殺菌作用があると考えられている。
セミは栄養分をとるため大量の木の汁を吸っており、普段から頻繁に余分な水分を排出しているそう。セミが排出するオシッコの成分はほぼ水と同じ、毒性は全く無いとされている。セミが飛ぶ時にオシッコをするのは、飛ぼうとして筋肉を使った時にこれが押し出されてしまうためと言われている。
現地ではこのドゥンドゥビアのオシッコを浴びる者には、幸福が訪れさらには万病が治ると人々に言い伝えられ、このセミから降り注がれる聖水を求めて遠方からも多くの人が訪れる。そのまま浴びる人もいればバケツにためて顔に塗る人など、それぞれの方法でおしっこジェット噴射セミにあやかる。
【参考】
おしっこジェット噴射セミについて