ゆらゆら帝国

「音楽性の違い」

多くのバンドが解散する際この理由を挙げるが、中には“カッコイイ理由”で解散するバンドもいる。
個人的に解散の理由が最もカッコイイと思うバンドは、2010年3月31日に解散した「ゆらゆら帝国」だ。
ゆらゆら帝国は、1989年に坂本慎太郎(Vo&G)亀川千代(B)を中心に東京で結成。1997年 に柴田一郎(Ds)が加入し以降はこのメンバーで活動してきたスリーピースバンド。
少し長くなるがオフィシャルHPで発表された、解散発表のメッセージを引用する。

ゆらゆら帝国ファンの皆様、スタッフ関係者の皆様へ

突然ですが、ゆらゆら帝国は2010年3月31日をもちまして、解散することになりました。
1989年2月の結成以来、21年間支えてくださったファンの皆様、スタッフ関係者の皆様には、何と御礼を言っていいのか分かりません。
本当にありがとうございました。
メンバー一同、心より感謝いたします。

ゆらゆら帝国は、結成当初から「日本語の響きとビート感を活かした日本独自のロックを追求する」という変らぬコンセプトを基に活動を続けてきました。
同時に、アルバムごとに過去のイメージを払拭し、更新し続けることを自らに課し、時にはバンド形態すらも壊すことによって、常に自分達の演奏に向かう新鮮な気持ちや、緊張感を保ってきました。
そしてアルバム「空洞です」とその後のライブツアーで、我々は、はっきりとバンドが過去最高に充実した状態、完成度にあると感じました。
この3人でしか表現できない演奏と世界観に到達した、という実感と自負がありました。

しかし、完成とはまた、終わりをも意味していたようです。

解散の理由は結局、「空洞です」の先にあるものを見つけられなかったということに尽きると思います。
ゆらゆら帝国は完全に出来上がってしまったと感じました。
昨年は、新曲を作ったり、旧曲のライブアレンジで新たな試みをすることで、 なんとかこの出来上がってしまった感、安定感を打破しようと試行錯誤したのですが、結局自分達の中で、次ぎのアルバムに繋がるようなワクワクする感覚を得ることはできませんでした。
今年に入ってから、メンバーで話し合った結果、「この3人で、やれることは全てやり切った。」「これ以上続けてもルーチンワークになるだけだ。」という結論に達し、メンバー全員納得して、バンドを解散することに決めました。

突然で、しかもこのような形での発表になってしまい申し訳ありません。
バンドは解散しますが、今後もメンバーはそれぞれ違った形で、音楽を続けて行きます。
これからも音楽を続けて行く為の、発展的解散と捉えていただければ幸いです。

最後にもう一度、
皆様、今まで本当にありがとうございました!!!!!!!!!!!!!

ゆらゆら帝国 代表 坂本慎太郎

2007年10月に発売したアルバム「空洞です」で最高到達点に達しバンドとしては完成してしまった。これ以上のものはこのバンドでは作れない。だから解散する!
なんと潔いのだろう!

ゆらゆら帝国初期はガレージロックやサイケデリックロックの要素が大きかったが、「空洞です」では極端に無駄を省いたシンプルなサウンドでギターソロもほぼない。無機質でスカスカで単調…なのにどこか優しさと生の温もりを感じさせる不思議な作品となっている。
表題曲でありアルバムの最後に収録されている「空洞です」は、映画「愛のむきだし」の挿入歌になっており、また、小泉今日子がカバーしているので聞いたことがある人も多いだろう。

「ミュージック・マガジン」4月号の創刊50周年を記念した特集「50年の邦楽アルバム・ベスト100」。特集では識者50人による投票を元に1969〜2018年までの50年の間にリリースされたアルバムを順位づけしている。
この中で「空洞です」は平成に発表された作品の中では最上位を記録している。(細かい順位は雑誌を買ってチェックしてね)
「空洞です」はバンドのみならず平成の邦楽アルバムの最高到達点として認知されているんです。


【動画】

PVゆらゆら帝国 『空洞です』

【参考】
ゆらゆら帝国