ここ最近、「観た?」と言えば話が通じる、最高のドラマといえば何?
答えはもちろん“全裸監督”である。

ネトフリ
 
飲み屋で友達と話していても少なくとも2回はこの話題が上がり、しばらく連絡していなかった筆者の姉からも「最高だった」とLINEが来るほどのドラマだった。まさに「美しい社会」に喧嘩を吹っ掛けるような挑戦作で、日本映像業界に衝撃を与えた問題作といっても過言ではないだろう。すでにシーズン2も決定しており、楽しみは増えるばかり、、、
しかし、今回は全裸監督の話ではなく、その後に控えるNetflix新ドラマの話題だ!

園子温×椎名桔平がタッグ

園子温と言えば「愛のむき出し」、「冷たい熱帯魚」、「地獄でなぜ悪い」など、数々の話題作を作り上げた名監督である。(余談だが、筆者は新宿の「シネマカリテ」でトイレから出ると、園子温監督と奥様・神楽坂恵さんに挟まれて、出したばかりなのに漏らしそうになったことがある)
その監督が俳優・椎名桔平を主演に迎えメガホンを取るドラマ「愛なき森で叫べ」が2019年秋に配信を予定している。
同作品は、実際に起きた猟奇殺人事件にインスパイアされた実録シリーズ。劇場公開作品ではないが「Netflixオリジナル映画」と位置付けられているそうだ。

「愛なき森で叫べ」概要
一見すると快活で好ましい人物・村田丈は、実際は他人を巧みな話術と暴力で支配し、金を搾り取り、出会った人々を残虐な犯行へと巻き込む冷酷な先天的犯罪者。彼に出会い、運命を狂わされる女性たちとその家族。そして、狂気の沙汰を繰り返す村田たちと行動を共にする若者・シンの謎めいた眼差し……。理不尽な暴力や支配にたやすく精神を侵され、「善人」であることを放棄する登場人物たち。一見自分たちとは無関係とも思える「彼ら」はしかし、「私たち」でもありうるのだ。常軌を逸した事件が絶えず、いつ自分が善悪の狭間に落ちてもおかしくない社会の本質に園子温が深く切り込み、人間の深淵を描き出す。

猟奇殺人事件がモデル?!

今回、園監督がモデルにしたのは、1996年から2002年の期間で家族同士が暴行し合い、計7人の犠牲者(5歳の子供含む)を出した、「北九州監禁殺人事件」である。
この事件は、拷問と虐待によるマインドコントロールにより、家族一家を操り、傷つけ合わせ、さらには家族間で加害者と被害者を出させるという悲惨な事件だ。
事件の首謀者は男女の2人組で、彼らは一切殺害などに関わらずに、操っていただけというのも恐ろしい所。犯罪史上稀に見る凶悪犯罪とされ、第一審で検察側は「鬼畜の所業」と被告人男女を厳しく非難し、二人は“死刑”と“無期懲役”を言い渡された。
ちなみに「北九州監禁殺人事件」は“闇金ウシジマくん”でも「洗脳くん編」でモデルにされており、当時様々な意見が飛び交った。そこから知っている方も多いはず。

ネトフリ
 

以前にも事件をモデルにした映画がある

園監督は以前にも1993年に起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」をモデルに、映画「冷たい熱帯魚」を発表している。何も知らずにみると、トラウマ作品になるので注意。
 
ネトフリ

この事件は埼玉で起きた殺人事件。容疑者はアフリカケンネルというペットショップを経営している夫婦だ。なによりも、その遺体処理の方法があまりにも残酷で、世間から注目を浴びたという事件だ(気になった方は調べてみてください)。主犯の男は「ボディを透明にする」「殺しの世界ならオリンピック級」という犯罪史に残るであろう言葉を残しており、言動からその残忍さと狡猾さが伺える。
“遺体なき殺人”と言われ、見つかっていない被害者を含めると少なくとも30人は犠牲になっているそう。
映画では、冴えない男・社本(吹越満)が、熱帯魚店を経営する村田(でんでん)に出会うことから、殺人の加害者に巻き込まれていく。

それぞれの声

・園監督
実際の事件をベースに作ることについて園子温監督は「そっくり再現することには興味はなかった。それをアレンジして物語が作れるなら」との思いで取り組んだという。これまでの園子温作品に登場した人物が何人も登場することが明かされ、「事件の中に自分の今までのキャラクターが入っていって、起きた事件をどう動かしていくか、かどわかしていくかに興味があった」とのこと。

・主演:椎名桔平
園子温作品ではかつて「新宿スワン2」に出演した椎名桔平さんは、「どういう作品なのかは二の次で、まず園監督だから」と今回の主演を受けたことを説明。「何でもやろうという思いだったが、それ以上にやらされました(笑)」と振り返った。

・でんでん
「冷たい熱帯魚」で殺人鬼を演じていたでんでんさんは、今回“被害者”役。椎名桔平さん演じる村田に本気で10発以上殴られるという撮影があり、“手抜きは許されない”現場というエピソードを明かした。ただ、最終的にこのシーンはカットされてしまったという。

・満島真之介
かつて俳優としてではなく“助監督”として園子温監督と映画作りをしていた過去を持つ満島真之介さん。演じるシンは、“映画小僧”的なキャラクターだという。シンを取り巻く世界について「夢を追う若者たちの無謀さと、出会い、別れという、なんだか犯罪とは真逆の、未来に向かって突き進む若者と、得体の知れない大人が交錯することがすごく不思議な空気感」と表現。
撮影を続けていくにつれ「何が本当で何が嘘か分からなくなってくる。園さんのセリフ回し、言葉の使い方もそうなんですが、村田を演じる椎名さんを見ていると、怖いけど笑っちゃう。バイオレンスなシーンも、生活の流れと全く変わらない瞬間にある。映画を作っているんだけど、何の作品を作っているかどんどん分からなくなってくるような感覚が正直ありました」と今回の撮影を振り返った。


終わりに

今までの園監督の作品は、観るたびに衝撃を受ける。人間の弱さ・悲しさ・かっこ悪さが前面に押し出されるものが多く、「人とはこんな生き物なのか」と観ていて面白いが、終わるとドッと脱力感に包まれるような物ばかりだ。
次に園監督はNetflixで何を描こうとしているのか。考えただけで興奮がやまない。と、同時にその好奇心を嫌悪する自分もいる。いや、まぁ、その二つが混在するのが園監督の作品であり、人間の面白い所なのだからしょうがないか。
「愛なき森で叫べ」では、いままでの園監督作品から何人ものキャラクターが登場するということで、今までの作品を観なおしてこの作品に備えようと思う。
何本目で体調悪くなるだろうなぁ。

とにかく、Netflixはまだまだ止まらない。