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1995年4月1日、熊本市の水前寺陸上競技場で行われた横浜フリューゲルス対サンフレッチェ広島。この試合は、フリューゲルスのホームゲーム。

Jリーグではユニームが2種類あり(現在は3種類あるところもある)、チームカラー主体の1stユニホームと、白など違う色が主体となった2ndユニホームがある。

通常、ホームチームは1stユニホームを着用しアウェーチームは2ndユニホームを着用するのだが、色がかぶってしまうと観客も選手も敵と味方が分かり辛くなるため、2ndユニホームの色が相手の1stユニホームの色と同じ場合は、アウエーであっても1stユニホームを着用する必要がある

熊本で行われたこの試合、サンフレッチェはアウエーゲームで使う白の2ndユニホームを持参していた。ところが横浜Fの1stユニホームは白。競技場に着いて間違ったユニホームを持ってきたことに気付いた広島は球団事務所に紫の1stユニホームを車でもってくるように頼んだ。しかし、気付いたのは3時間前で広島〜熊本まで届けるのには無理があった。
没収試合の危機だったが、サンフレッチェはユニホームの用意に成功。試合にも勝利!一体どうやった?

試合に駆けつけたサポーターが窮地を救った!

用意するべきユニホームを用意していないことでまさかの没収試合になりかねない状況に陥った時、球団関係者の目に飛び込んだのは、レプリカのユニホームを着たサポーター達の姿だった。
球団関係者は応援席に走り、サポーターからユニホームをかき集めた。

そのままでは使えず、12の背番号を紫色のペンで11に修正。背番号のないものには白いガムテープで数字を張りつけた。さらに会場ボランティアの主婦や女子中学生10人を動員し、はがれ落ちないように針で縫う大作業。急造ユニホームがすべて仕上がったのは、試合開始10分前というドタバタぶりだった。

試合は森保一選手とハシェックの選手ゴールで広島が2−1で勝利。
森保選手は試合後「皆さんのおかげで試合ができて勝つことができました」で語った。サポーターのユニホームがなければ試合自体が成立しなかった可能性もあり、言葉には実感がこもっていた。
ユニホームを貸したサポーターにはその後、監督とベンチ入りした選手全員のサイン入り色紙がプレゼントされたという。

【動画】
Jリーグ公式

【参考】