アメコミと言えば? と聞かれると、アイアンマンやバットマンなどのカッコいいヒーローを思い浮かべる方はきっと多い事でしょう。
しかし、ヒーローが輝くにはそれに負けず劣らずの魅力を持った“悪役”がいてこそでしょう。
そして、きたる10月4日に公開される「ジョーカー」ではバットマンシリーズでおなじみ、最恐の悪役ジョーカーの誕生秘話がオリジナルストーリで語られます。
この作品は、第76回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門にも正式出品され、今年一番の拍手喝采とブラボーの嵐と共に8分間のスタンディング・オベーションが巻き起こり、最高賞となる金獅子賞を受賞しております。
筆者も「ジョーカー」を劇場で観れる日が楽しみでなりません。という事で、今回は実写映画に登場した歴代ジョーカーを、そのトレードマークであるピエロメイクにスポットライトを当てて、振り返ってみたいと思います。
バットマン(1989年)
正式に言えば、この映画がジョーカーの初映像化ではありません。これよりも前にも劇場映画「バットマン(1966年)」でジョーカーは実写化されているのですが、一番有名な一作目と言えばコチラでしょう。
ティム・バートン監督作『バットマン』(1989)でジョーカーにふんしたのは、『カッコーの巣の上で』など3度のアカデミー賞に輝く名優ジャック・ニコルソンです。本作におけるジョーカーの本名はジャック・ネーピア。マフィアのナンバー2だった彼が女絡みでボスの不興を買い、銃撃戦の末に化学工場の薬品槽に落ちて肌は真っ白&顔の神経も全部やられ、闇医者の手で“常に笑った顔”のジョーカーへと変貌する姿が描かれる。
第一作のジョーカーの設定は原作にかなり近く、薬品によって顔が白くなり、口もしっかりと裂けております。性格もアニメ版によく似ているのでよく笑い、サイコなほどに明るいというキャラクターだ。まさにアメコミキャラという雰囲気。
ニコルソンは「薬品槽に落ちて違う人格が出てきたわけだから、精神が不安定なキャラクターを演じた」と振り返り、バートン監督は「完璧以上。まさにジョーカーそのものだった」と絶賛で、ニコルソンの演技を見たいがためにテイクを重ねたと明かしているそう。
ダークナイト(2008年)
何よりも、日本にジョーカーというキャラクターを浸透させたのは、この映画ではないでしょうか?
今作でジョーカーは自ら白粉で顔を塗っているので、汗でメイクが流れたりもします(完全に肌色の顔を露出しているシーンもあり)。口は裂けているのですが、その理由は謎のまま。現代社会にありうるという点では新作「ジョーカー」に似た設定なのかもしれません。そしてこの作品のジョーカーは徹底的な“悪”として描かれており、その目的も、思想も、生い立ちも謎に包まれています。しかし、ジョーカーは大いなる物語の火種でしかないのです……(観てない方はぜひとも観てください!)
さらに『ダークナイト』(2008)でジョーカーを演じたヒース・レジャーは、撮影終了後の2008年1月22日に処方薬の過剰摂取で死去。28歳の若さでした。生前には、狂気を人の形にしたようなジョーカー役にのめり込むあまり、体は疲れ切っているのに考えることをやめられず、1日2時間ほどしか眠れないと打ち明けたことも。ホテルに引きこもって誰にも会わず、ジョーカという大量殺人鬼の内面まで突き詰めたことも原因といえるかもしれません。
脅しも交渉も通じず、“ただ世界が燃えるのを見たい”という純然たる狂気の体現は、アメコミ映画に対する世間の見方を大きく変え、ヒースはこの演技で第81回アカデミー賞助演男優賞を死後受賞することになりました。
スーサイド・スクワッド(2016年)
この作品のジョーカーは、今まで紹介してきたジョーカー達とは一味違います。ジャラジャラと装飾品を身にまとい、体中にタトゥーを入れており、言ってしまえば“地元のヤンキー”チックな雰囲気を醸し出しています(実際にいたらマジ怖いんですけども)。
作品柄、ジョーカーの恋人(?)であるハーレークインがメインであり、あまりジョーカーが出てきません。なので、ジョーカーが出るたび「俺の女に手を出すなよ」というような、チョイダサな印象を受けてしまいます(カッコイイんですけどね)。
因みに、今作のジョーカーメイクは地肌なので、過去に何かあったようなことが予感させられますがそれについてはノータッチです。
口は裂けておらず、至る所にタトゥーを入れているところを見ると、原作から一番遠いジョーカー像なのではないでしょうか?
しかし、その役作りはもの凄い。周囲との連絡を完全に絶って徹底した役づくりを行い、撮影中は常にジョーカーに成り切っていて、共演者たちにネズミや死んだ豚、使用済みコンドームといった奇妙な品々を送りつけるという奇行も行っていたというから驚きだ。
2021年には「スーサイド・スクワッド」の新作が公開されるので、要チェック!
ジョーカー(2019年10月4日)
そして最新作の「ジョーカー」。社会から軽視されてきた貧しいコメディアンのアーサー・フレックを主人公に、コミックからは離れて「ジョーカーのような人間はどのようにして生まれるのか」を暴力的かつダークに描いているという。メイクに関しては俗にいう“ピエロ”そのものだ。予告編を見る限り、設定的には「ダークナイト」ジョーカーに近い部分があるのかもしれない(売れないコメディアンというのは原作に近い)。現代社会にありえるかもしれない狂気と暴力がどのようにジョーカーという“男”を創り上げたのか。主演のホアキン・フェニックスは一日一回しか食事を取らない生活を送り、23キロの減量をして撮影に挑んだそうです。とても楽しみな一作ですね!
終わりに
新作の「ジョーカー」をきっかけに、今まで映像化されてきたジョーカーと比べてみても面白いかもしれません。ぜひとも秋の夜長に素敵な映画ナイトを!
ちなみに、ゲームやアニメ版のジョーカーは、「スター・ウォーズ」で「ルーク・スカイウォーカー」を演じた「マーク・ハミル」が声を当てています。ビックリ‼
(Written by レッドくりすけ)
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