現在の日本の医療・介護分野は、現場で働く人々の情熱によって支えられている側面が大きい。しかし約5年後、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降に現場の労働力とお金が足りなくなる「2025年問題」と呼ばれる課題があるのをご存知だろうか。今よりさらに医療・介護現場に人が必要になってくるのだが、採用について別の問題が隠れているとのことで、「破滅寸前の医療・介護業界の人材採用問題」ラウンドテーブルを9月24日(火)に開催された。

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登壇したのは、医療・介護領域に特化した直接応募型の求人ポータルサイト「コメディカルドットコム」を運営するセカンドラボ株式会社の代表取締役社長・巻幡和徳氏。医療・介護分野における人材採用問題について語った。そもそも医療・介護業界は、一般企業とは異なり収入のほとんどが公的資金で賄われているため財源が限られている。そのため利益を確保することが難しく、ハードワークになってしまう医療・介護職の従事者に対して十分な給与を捻出することも難しい。さらに設置しているベッド数に応じて国から厳格な人員配置基準が定められており、基準を満たした人材を必ず配置しなければならない。配置できないとベッドの稼働率をあげることもできないため、赤字経営になってしまう負のサイクルがあるという。実際に半数以上の病院が赤字というデータも存在している。
 
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巻幡氏は、医療・介護職の従事者を採用しないといけないが、採用にお金をかけることがなかなかできない中、転職市場を人材紹介業者が支配している。高い手数料を提示されたり、勝手に求人を掲載(おとり求人)されたりしてもNOと言えない、パワーバランスが崩壊している現状が問題だと指摘する。ネット検索でも人材紹介会社の求人サイトが検索上位を占めており、施設独自の求人は埋もれてしまっている。医療・介護業界における人材紹介の手数料は採用した人材の想定年収の20%が相場と言われているが、ここ数年は手数料の値上げ傾向が続いており、35%の手数料が発生するなど、採用費負担が大幅に増えている。そもそも医療・介護業界の業種は、その資格・専門スキルを有した求職者はどの現場でも即戦力になります。そのため転職のハードルが低く、一般的な業界よりも転職回数は多いという。施設から施設へと業界内で人員が移動する度に、採用手数料だけが嵩んでしまう。

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さらに、閉院したクリニックや、募集していない職種の求人を掲載し、転職希望の求職者を集めるいわゆる「おとり求人」と呼ばれるものが蔓延。契約していないのに情報を無断掲載していることも多く、求職者が問い合わせた求人案件とは違う案件をエージェントが案内し、自社のクライアント施設へ紹介、転職させ、採用手数料で儲けるというパターンも常套手段となっているようだ。
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9割以上の病院・介護施設が「おとり求人」を不快に思い、問題視しているが、それでも人材紹介のサービスを利用しなければ人材が集まらないというジレンマがある。巻幡氏は高額な人材紹介会社が力を持ちすぎた状況を打開すべく、厚生労働省に手数料の規制やおとり求人問題の是正を提案していくという。

2019年10月に実施される消費増税によって、ますます施設にかかる金銭的負担が増加する中、2025年に迎えつつある大きな課題をどのように解決していくべきか。業界が崩壊してしまう前に、今一度しっかりと考える必要がある。