ネスレ日本は2019年9月下旬出荷分から、キットカット主力5製品の外袋をプラスチックから紙に切り替えることを発表。10月3日、同社都内オフィスにて報道陣向けラウンドテーブルが開催された。
ラウンドテーブルではネスレ日本コンフェクショナリー事業本部 マーケティング部長竹内雄二氏が登壇。キットカットの歴史やプラスチックごみの課題解決に向けた取り組みなどが説明された。
キットカットは1935年にイギリスで誕生。日本には1973年に上陸した。当時は“マッキントッシュのキットカット”として販売されたという。
世界中で親しまれるキットカットだが最も売れているのは日本とのこと。さらに日本のチョコレート菓子市場においてもトップシェアを誇る。日本で誕生した抹茶味は今では海外の工場でも生産されるほどの人気ぶりだ。
実は日本は海外に比べてチョコレートの年間消費量が少ない。そんな日本が世界No.1のキットカット消費国に成り得た理由にはターゲットやチャネルを徹底的に開拓し、消費者ニーズに対応してきたことが深く結びついていると竹内氏は話す。
「世界には14のネスレ工場があるが現地の嗜好に合わせており、国や地域によってチョコの甘さ、ウエハースの硬さなどが微妙に違う。日本では定番品だけでなく、大人をターゲットにした甘さ控えめキットカットの開発など、消費者ニーズに対応してきたことが売上に起因していると我々は捉えている」(竹内氏)
世界中で問題となっているプラスチックごみの課題解決に向けた取り組みとして、先月下旬出荷分からキットカット大袋タイプ5品のパッケージを従来のプラスチックから紙に変更。紙パッケージで「折り鶴」を作って大切な人に想いを伝える、という新しいコミュニケーションを提案する。
10月4日からは新TVCMが公開。NHK教育テレビで1970年から1990年まで放送されていた教育番組「できるかな」をイメージした内容だ。工作の楽しさを伝えてきたノッポさんがキットカットの紙パッケージで「折り鶴」を作ってメッセージを書き、大切な人に気持ちを伝えるシーンが描かれている。ノッポさん、相棒のゴン太くんともにTVCMは初出演となる。
ネスレ日本は2020年までにキットカット大袋全製品の外袋の紙パッケージ化、2021年までに個包装のリサイクル可能な素材への切り替えを目標に掲げる。将来的には海洋生分解性素材など、より環境負荷の少ない包装材料への変更に向けて検証を続けているという。
プラスチック廃棄物による海洋汚染や野生動物への影響などに注目が集まる昨今。持続可能な未来を目指す同社の取り組みにさらに期待したい。