タピオカ片手に

♬♬タピオカ片手にfeel like I’m JK〜♬♬

こんな曲が一部で流行るほど空前のブームになっているタピオカ。
現在のブームは90年代前半の第一次ブーム、2008年頃の第二次ブームに続いての第3次ブームだと言われているが、実は戦前から日本でタピオカは親しまれていたということはあまり知られていない。

一流出版社「主婦之友社」が1928年(昭和3年)に刊行した『お菓子の作り方百卅種』の中でタピオカに関して以下のように紹介している。

タピオカといふのは、一寸(ちょっと)道明寺に似たもので、小さい玉のやうな菓子の原料です。大抵の食料品店で売っております。

昭和初期に刊行された書籍であるが、この頃にはほとんどの食料品店でタピオカ粉を置いていたようだ。
タピオカパール(タピオカドリンクに入っている粒)の原料であることもしっかり紹介されている。
“いふのは”“やうな”のように歴史的仮名遣いが使われていた頃の本にタピオカが紹介されているのは、意外性があって面白い。ちなみに菓子のフリガナも“くわし”だ。

※道明寺は道明寺粉のこと。もち米を蒸してから乾燥させて粗く挽いたもので和菓子の材料になる。

90年前のタピオカプリンの作り方!

『お菓子の作り方百卅種』はタイトル通り、お菓子のレシピ集。
和菓子だけでなく、シュークリーム、ババロア、ショートケーキ、ラングドシャなど様々な洋菓子の作り方が紹介されている。当時の主婦たちはこういった本をお菓子作りの参考にしていたのだろう。
本の中でタピオカを用いたスイーツとして紹介されているのは、「タピオカミルクティー」・・・ではなく「タピオカプリン」。

実際に、この本で紹介されている「タピオカプリン」の作り方を紹介しよう。

≪材料≫
タピオカ半斤、牛乳2合、砂糖40匁(もんめ)、ヴァニラエッセンス少量、卵2個

※1斤=160匁=約600グラム。

≪作り方≫
1.タピオカを水に漬け軟らかくする。
2.軟らかくなったら絞って牛乳2合に入れ、湯煎にかける。
3.溶いた卵に砂糖を加えよくかき混ぜる。
4.タピオカの混ざった牛乳(2)を少しずつ卵の中(3)に注ぎ込んで、ムラができないように泡立て器で伸ばす。
5.ヴァニラエッセンスを2〜3摘入れて香りをつける。
6.テンピに入れて中火で20分ほど焼き、型から抜き出す。

テンピとは、ガスコンロの上にのせて使用するオーブンのようなもののこと。テンピがない場合はご飯蒸し器で蒸してもいい。
冷やす工程がないのは、そもそもそういったメニューなのか、はたまた当時の家庭の設備事情のためなのかは、ちょっと分からないがレシピ通り作れば普通に美味しそうだ。

気になる人は作ってみてはいかが?

本日のBGM:Neon Nonthana & Eco Skinny -IRREGULAR LIFE (Prod. yung patron)