徳島県西部「にし阿波」に、歴史的な街並みが現在も立派に残された場所があります。美馬市脇町の「脇町うだつの町並み」です。
昭和63年(1988)に、全国で28ヶ所目の重要伝統的建造物群保存地区に、文化庁より選定されました。
ここは、吉野川北岸の撫養街道と讃岐(香川)への街道が交差する交通の要塞でした。吉野川に面して舟運の利用に適したため、かつては脇城の城下町として、さらに江戸時代以降、阿波藍の集散地として発展しました。
江戸時代、阿波藩の経済を支える重要な産業だった藍の染料、すくも作り。この脇町で活躍した「藍」商人の屋敷85棟が、南町通りの約400メートルにわたって現在も残ります。
特に、町家の両端に、本瓦葺きで漆喰塗りの「うだつ」(卯建)が多くみられるのが特徴。“火よけ壁”とも呼ばれ、防火の役割もありました。豪商たちが富の象徴としてうだつをあげた立派な家を作っていた時代も。うだつのほか、むしこ窓、格子造り、しとみ戸なども見られます。
そのためここは「うだつの町並み」と呼ばれるようになりました。ことわざにある「うだつが上がらぬ」も、このうだつが起源ではないかという説もあります。
竹細工の店、かつて藍を保存した蔵を改装した土産店、豪商の邸宅なども見学できます。第12世将棋名人となった小野五平翁の生家・平田家もあります。
うだつの町並みには、美馬市観光交流センターや道の駅「藍ランドうだつ」も隣接しています。藍染の歴史に関する展示や紹介、天然藍の染料を使った藍染体験や美馬和傘の製作見学・体験などができます。
さらに、地産地消カフェ「うだつ茶房」があります。観光客や家族連れに人気のランチ、地元の素材を使った阿波晩茶やホットゆず、ブルーベリースムージーなどのドリンク、美馬産のみまから唐辛子と阿波美豚などで作った、辛さがやみつきになる「みまからフランクタコス」のセットもおすすめ。散策ついでにぜひお立ち寄りください。
美馬市 観光情報|うだつの町並み
徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
(Written by A. Shikama)