クイーンズ駅伝

24日に第39回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会、通称「クイーンズ駅伝」が開催された。宮城県の松島町文化観光交流館前から仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台に至る6区間42・195キロで行われ、3連覇に挑んだパナソニックの優勝を阻んだのは、東京五輪女子マラソン代表に選出されている鈴木亜由子を擁する「日本郵政グループ」だった。
3年ぶり2回目の優勝となった「日本郵政グループ」は最終6区で2位のダイハツに5秒差まで迫られたが、最後は見事に振り切り、1区から首位を渡さず完全優勝を成し遂げた。

女王返り咲き「日本郵政グループ」

近年注目されている「日本郵政グループ」だが、陸上部が発足したのは2014年と歴史は浅い。それでも2015年にクイーンズ駅伝に初出場を果すと創部3年目の2016年に「クイーンズ駅伝」で優勝という快挙を成し遂げたチームである。

チームの象徴「鈴木亜由子」

このチームの象徴はやはり東京五輪女子マラソンの代表に選ばれている「鈴木亜由子」だろう。名古屋大学時代から注目を浴びていた彼女は陸上部の創部と共に日本郵政グループに入社した。ここ数年はトラックで強さを発揮して、淡々と走っているのに速いという印象を受けるランナーだ。
日本の女子ナンバー1の実力を持っているといっても過言ではない。
彼女に憧れて日本郵政グループに入った選手も多くいる。
今大会はエース区間の3区で区間賞は6秒差で逃したものの、区間2位の好走で首位をキープした。

スーパールーキー「廣中璃梨佳」

今大会で最も衝撃を与えた選手がルーキーの「廣中璃梨佳」だ。
長崎商業高校出身の彼女は高校時代に出場した駅伝で全て区間賞という、圧倒的な強さを誇り、実業団や大学の選手と競った2019年1月の全国都道府県対抗女子駅伝でも1区(6キロ)で区間賞を獲得するなど、注目を浴びていた。
今大会、彼女は1区(7キロ)を走り、従来記録を18秒も更新する21分32秒で駆け抜けチームに火をつけた。
是非彼女の名前を憶えてください。今後の陸上界を引っ張るのは彼女かもしれない。

さらに3人のルーキーが抜擢

今大会で驚いたのが、日本郵政グループが廣中の他にもルーキーを3人抜擢したことだ。
2区を走った「菅田雅香」は強力なランナー鈴木、廣中に挟まれていたこともあり、のびのびと区間2位の好走をした。4区「高橋明日香」は区間順位が振るわなかったものの首位キープに成功。そして5区「大西ひかり」も襷を受けた時に25秒差だった。一時は2位でレースを運んでいたパナソニックの森田香織に徐々にタイム差を縮められるものの、追走を振り切り、結果タイム差を32秒に広げた。
新人は廣中だけじゃないぞと思わせるには十分な活躍を見せた。

真の強豪へ、レギュラー争いが激化

「日本郵政グループ」は強いチームではあるが強豪チームと言われるとその表現は少し違うのではとライターは個人的に感じていたし、今年のクイーンズ駅伝は上位8位以内のシード権を獲得しても優勝は難しいと区間エントリーを見て予想していた。良い意味で期待を裏切ってくれた。
そんな彼女たちの今大会の成績を見ると強豪への第1歩を歩み始めたのではと今は感じている。その理由の1つとして日の丸を背負って世界大会を経験しているランナーで、2016年大会で初優勝をしたときに大きく貢献した「鍋島莉奈」、「関根花観」が区間エントリーされていなかったこと。来年の駅伝に向けてレギュラー争いが激化することは間違いない。
そして、何より今後、このチームに憧れて入社する将来有望な選手が増えことが予想される。

日本郵政グループが強豪チームと呼ばれる日はもう目の前まで来ているかも知れない。


(Written by ユーサク)