箱根5区

来年1月2、3日に「第96回東京箱根間往復大学駅伝競走」が開催される。
令和最初の王座はどこの大学が手にするのか。
そして、各校は本番に向けての調整、情報戦も含めての戦いが始まってくる。
箱根駅伝は2区、5区が特に重要とされていたが、最近ではその風潮も変わってきており、どこの区間で勝負してくるかはわからなくなっている。今年の箱根駅伝だと繋ぎの区間と言われてきた4区に東洋大学・相澤、東海大学・舘澤を配置するなどエース級の選手が配置されている。
とはいうもののやはり山登りの「5区」は特殊であり、大事な区間である。
山を制する者は箱根を制すまさにそんなレースとなった大会を紹介したいと思う。

第85回大会(2009年)東洋大学・柏原竜二


東洋大学が初の総合優勝を飾った大会で当時ルーキーだった柏原竜二が「2代目・山の神」へと一気に駆け上がったレース。5区に入った時点で柏原トップと4分58秒差あったにも関わらず、逆転に成功し往路も制覇。
勢いそのままに、一時は早稲田大学に逆転されるも再逆転し、そのまま大手町に帰ってきた。
柏原という大砲が誕生したことで続く大会はいかに4区までに差をつけるか、また山登りのできる選手の育成という課題が各校に課せられた。

第89回大会(2013年)日本体育大学・服部翔太


予選大会から出場し、総合優勝という衝撃を与えた日本体育大学。
総合力だけでみたら当時の東洋、駒澤大学の方が上と見られていたなかでの優勝だった。
その立役者となったのが当時3年生でありながら主将を務めていた服部翔太だ。
しかも5区は初挑戦のうえ、中継所では先頭を走る当時3年生の東洋大学・定方俊樹とは1分49秒差をつけられスタート、さらに山登りで前年好成績だった当時早稲田2年生・山本修平ととの三つ巴となった。
強風との闘いながら、三つ巴のレースを制し、往路をトップでフィニッシュした。
復路ではチームが先頭を走ることがどれだけ心にゆとりをもたらすのかがわかるレースを日体大が体現した。

第91回大会(2015年)青山学院大学・神野大地


青山学院大学が箱根初優勝し、常勝軍団へと1歩を踏み出した大会。
この年に5区の秘密兵器として青山学院が起用したのは3代目・山の神となる神野大地だ。コースが変更したため、東洋大学・柏原の記録は参考記録だったがそのタイムよりも速いタイムで駆け抜け、衝撃を与えた。5区は山登りも得意なのはもちろん、終盤の山下りも重要で当時の神野は下りの適性も持っていたことが、好タイムの要因の1つだ。この年、青山学院が叩き出した総合タイム10時間49分27秒は更新されることはおそらくないだろう。

来年の注目選手

王者・東海大学「西田壮志」、今年5区間賞・國學院大学「浦野雄平」、リベンジを誓う・青山学院大学「竹石尚人」、昨年5区間賞・法政大学「青木涼真」の4選手が区間賞争いとなるでしょう。
しかし、2013年は駒澤大学が当時2年の村山謙太、2014年は東洋大学が当時4年の設楽啓太、2014年から2016年までは日本大学が留学生のダニエル・ムイバ・キトニ―を起用など意外な選手が起用されることもあった。
もしかしたら、そんな起用が見れるかもしれない。

果たして、来年はどの選手が山を制するのでしょうか?
4代目山の神は誕生するのか?


(Written by ユーサク)