日本庭園や日本画に見られる庭の様式の1つ「枯山水」(かれさんすい)は、平安後期に生まれて室町後期に発展し、池ややり水がない場所に作られた、自然山水の景観をイメージした「石」組みのことです。京都の龍安寺にある庭園をはじめ、全国の寺社で見られます。海外での評価も高い庭園様式です。

DSC_0265

いわば、日本が誇る芸術「枯山水」をモチーフとしたボードゲームが数年前、メディアに次々と取り上げられて話題となりました。その名も「枯山水」(新装版)で、現在も「Amazon」などで購入できます。2人からプレイできます。

その枯山水ボードゲーム、初めてプレイしてみました。ゲームを開発したのは、ボードゲームデザイナーの山田空太さん。

DSC_0262

まず、プレイヤーがそれぞれ禅僧になり、「作庭家」「名庭園」のカードをそれぞれ引きます。「作庭家」は雪舟や千利休などで「好きな石を1つ得て庭園に配置」「仮置き場のタイルを奪って配置」などの指示が書かれてあります。

一方、「名庭園」は西芳寺、龍安寺、南禅寺などの庭園が表にイラストで描かれ、裏には石を置くとボーナスがもらえる場所が示してありました。

DSC_0271

いざ、ゲーム開始。渦や砂、苔などが描かれた「タイル」を、プレイヤーが順番に1枚ずつ引き、自分のボード上にタイルを置いて「石庭」を作っていきます。同時に“座禅”をすることで「徳」を得たり、禅僧の駒を移動したり、庭に置くための「石」を獲得したりして、ゲームを進めていきます。

タイルが増えるにつれ、完璧な石庭を作り上げるのが難しくなっていきます。他のプレイヤーにタイルを「譲渡」して徳を得る、タイルを置かずに「破棄」して徳を失う、引いたタイルを仮置き場にいったん「保管」するなどの“駆け引き”もあれば、美しい石庭を作るための石の置き場所も考えなければなりません。簡単なようで難しい、頭を使います。

DSC_0255

プレイヤー全員がすべてのタイルを置き終えたところで、ゲームセット。ここからが本当の勝負でした。

ボード上に置かれた「砂」「苔」「石」の基礎点、「渦」でボーナス点、また、石の組み方が「桂馬置き」「斜め置き」「蓬莱山」などで加点がある一方、繋がっていないタイルは減点も。意外な加点で一気にトップに躍り出るプレイヤーもいれば、思わぬ減点が重なってしまうと庭園をきれいに仕上げても得点が伸び悩むことも。

DSC_0266

一度プレイしただけですべてのルールを把握するのは難しいというのが、正直な感想。二度目からのプレイだとより戦略的に作庭ができそうで、ゲーム回数を重ねるたびにどんどん楽しめて、何度もプレイしたい、とても奥が深いゲームであると同時に、日本庭園への知識も深まります。次の京都では「石庭」めぐりも、ぜひ。


「そうだ 京都、行こう。」
京の冬の旅 2020年1月〜3月

(Written by A. Shikama)