水を用いず、“石”や“砂”だけで作り上げられた「石庭」は、京都の寺院でよく見られます。「禅」の思想を反映し、石と砂で自然を描いた「枯山水」が有名で、室町時代後期に多く作られました。

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その枯山水の石庭で、京都を代表する名所のひとつが、妙心寺の塔頭「妙心寺退蔵院」です。狩野元信作と伝わる枯山水庭園「元信の庭」、昭和時代に造園家・中根金作が手掛けた「余香苑(よこうえん)」をはじめ、異なる砂の色を配した「陰陽の庭」、水墨画の祖といわれる画僧如拙が室町時代に描いた国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」(京都国立博物館寄託。寺に模本あり)などの見どころが多くあります。

ちなみに、剣豪・宮本武蔵が精神修養した場としても知られます。

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「元信の庭」は、白砂と石組みで作庭された枯山水庭園で、常葉樹を背景としていることで年中変わらない“不変の美”を表現。また「余香苑」は、春に見事な紅しだれ桜が咲くほか、蓮や紅葉、雪など四季折々で美しい景色が見られる池泉回遊式庭園です。その余香苑の入口にある「陰陽の庭」は、白砂と対比して石庭では珍しい黒砂が用いられていて、物事や人の心といった二面性を伝えるとされています。

その妙心寺退蔵院で、京都の朝を楽しむツアー「妙心寺退蔵院 坐禅体験と朝がゆプラン」
が、3日間限定で実施されます(事前予約要)

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まだ朝が明けきらぬ6時40分、妙心寺退蔵院の門前に集合します。そして、副住職から、寺の建立や庭園にまつわるお話を聞いた後、「坐禅」を体験します。

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由緒ある禅寺で体験する正しい坐禅は、実は日常生活の中でも実践できるもの。最近では、この妙心寺退蔵院で、日本を代表するグローバル企業の研修などで行われることも多いとのことです。坐禅する中で頭を空っぽにし、背中が曲がりがちな姿勢もしっかり正されます。短時間でも、ずっとじっとしていることが非常に長い時間にも感じられる人も多いはず。

坐禅を体験した後、身も心も清々しい気持ちになります。その後に提供される「朝がゆ」の素朴な味わいは、美味しさひとしおです。

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「妙心寺退蔵院 坐禅体験と朝がゆプラン」は、2020年2月9日、3月8日、4月5日の実施。参加費は大人・子ども5,500円。3日前までに申込を。

京都 妙心寺 退蔵院
「そうだ 京都、行こう。」
京の冬の旅 2020年1月〜3月