京都・嵐山を代表する寺社、天龍寺。足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うため、夢窓疎石を開山として建立された禅寺で、京都五山第一位として栄えた名刹です。「古都京都の文化財」として世界遺産にも指定されています。

その天龍寺には美しい庭園があることがよく知られている一方、天龍寺塔頭寺院にも通常非公開の見事な庭園があります。

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「弘源寺」は、天龍寺の塔頭。1429年創建。室町幕府の菅領だった細川家ゆかりの寺で、本堂から雄大な石庭の眺めが見られるほか、嵐山を借景としたこの枯山水庭園は、春は桜、秋は紅葉と調和する、まさに絶景となります。

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また、弘源寺は幕末、長州藩の軍勢が陣を構えた場所でもあり、ここから禁門の変(蛤御門の変)へと出兵しました。天下を分ける戦を前に、血気はやる長州藩士たちによる刀傷が、本堂の柱に残されているのが今も見られます。

現在ではいずれも貴重な、30数名にも及ぶ画家たちが手掛けた本堂の障壁画なども必見です。

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そして、毘沙門堂の正面扁額は弘法大師の直筆によるもの。国の重要文化財「毘沙門天立像」は平安時代に造られ、印度(インド)の仏師の作といわれ、中国を経て日本に伝わったとされます。

毘沙門堂の天井に見られる、日本画家初代藤原孚石筆による色鮮やかな四季の草花が48面にわたって描かれているのも見事です。

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一方、天龍寺の東に位置する開山堂「臨川寺」は、天龍寺の開山堂にあたります。1335年、後醍醐天皇の第二皇子である世良(ときなが)親王の菩提を弔うために建てられました。

ここで、当時の公家・北畠親房や夢窓疎石らから教えを受けた世良親王の御墓所は、夢窓疎石の墓所とともに今も本堂の裏にあります。

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その臨川寺には、「龍華三会(りゅうげさんね)」の枯山水庭園があります。夢窓疎石の作庭は今なく、昭和時代に作庭されたものです。

正面に釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩の三尊石、その周辺に十六羅漢が配置されているのが特徴です。

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本堂内から眺めた、龍華三会の庭。後ろに、嵐山を望む見事な石庭です。

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弘源寺と臨川寺、そして東福寺塔頭の一華院と3つの通常非公開の石庭を入場見学する「京の庭を楽しむ 非公開石庭めぐり」が、2020年3月15日に実施されます。京都駅発着。参加費は9,800円(大人・子ども共通) 2020年3月12日申込締切。バス代、拝観料、御朱印付き。

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※取材により特別に撮影しております。一般の方は写真撮影禁止となっておりますので、ご注意ください

弘源寺(臨済宗大本山天龍寺塔頭寺院)
「そうだ 京都、行こう。」
京の冬の旅 2020年1月〜3月