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高速道路の総延長約1万km、一般国道の総延長約6万6千kmと膨大な数の点検が必要なインフラがある日本。土木建設業界においては、法律で5年に1回の点検が義務化されてから、特に人手不足が問題となっており、作業の効率化が求められている。
この課題解決に向けて各社が取り組み始めているのが、インフラ点検作業にテクノロジーを融合させた「土木テック」だ。株式会社土木管理総合試験所(長野県千曲市)においても、土木テックへの開発を積極的に推進している。点検作業の進化などの話を聞くことができた。

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道路や橋、トンネルといった、人々の暮らしを支えるインフラ。万が一不具合が生じれば重大な事故に繋がる可能性もある。2016年に発生した博多駅前の道路陥没事故などをはじめ、起こりうる事故を未然に防ぐために不可欠なのがインフラ点検だ。しかし従来のインフラ点検は人力によって行われており、工事事業者の人材不足が深刻な問題とされていた。
土木管理総合試験所はこの問題を解決するための取り組みとして、東京大学と共同で「ROAD-S(ロードス)」というAIシステムを開発した。
昨今では三次元レーダ探査車を活用した道路調査が普及しつつあるが、取得した大量の波形データを専門家が何時間もかけて目視で見分けるという必要があった。一方、「ROAD-S」では独自のアルゴリズムが搭載されたAIがその波形を瞬時に解析。道路のヒビ割れや空洞など危険なポイントを表示する。これまでの一般的な調査方法では1kmの解析に数ヶ月費やされていたことが、「ROAD-S」ではわずか数分で可能に。革新的なシステムといえよう。「ROAD-Sの提供先として、現在では地方自治体やゼネコンを想定している」と同社の担当者は話す。

土木管理総合試験所では現在、全国の高速自動車国道と一般国道のデータ集積を進めている。集めた情報をビッグデータ化し、オンラインの管理画面上、どこでも簡単に道路の危険度状況を地図上で把握することが可能になる。

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体験版システムのデモンストレーションの一部を紹介したい。まずはログイン。続いて地図検索・出力条件の選択を行う。診断結果は「平坦性」「舗装表面のひび割れ」「舗装表面のわだち掘れ」「舗装体の異常度」「空洞・異物の有無」「埋没物の敷設状態」の6種類から選ぶことができる。

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診断条件の選択後、地図上に全ポイントの異常度が表示される。即時に確認することが可能だ。異常度が高い箇所が赤色、中程度と見られる箇所が黄色、低い箇所は青色で表示されるので大変わかりやすい。専門知識のない一般の方でもひと目でわかる仕様になっている。

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出力したデータを選択することによって、ポイントの詳細の確認も可能だ。上画面のように舗装表面のひび割れの詳しい診断結果も確認できる。


ROAD-Sを活用した場合、工事事業者のメリットとして管理維持コストの削減や人手不足の解消、工期の短縮化が挙げられる。最大で1/100になる可能性もあると言う。一方で一般消費者にとっても渋滞や通行止めの減少、深夜帯の工事の減少などのメリットを見込むことができる。ドライバーにとっては非常にありがたいことだ。

低コスト、タイムリーな維持管理を可能にする、土木管理総合試験所の土木テック。インフラ点検需要が高まるこの時代において、今後の動向に注目が集まりそうだ。