配信やストリーミングが全盛になりCDを買う機会もめっきり減ったが、10年くらい前までは毎月にように好きなアーティストの新譜が出るとCDを購入していた。
90年代までは短冊型の8cmCD(シングル用)も存在していたが、基本的にはCDのサイズといえば12cmである。なぜ10cmや15cmではなく12cmという中途半端な大きさなのだろうか?
第九の演奏が全て収まる大きさ
CDの規格の開発はオランダのフィリップス社とSONYが共同で行った。
フィリップス社は「記録時間60分、ディスク直径11.5cm」、一方SONYは「記録時間75分、ディスク直径12cm」と主張、どちらも譲らなかった。
SONYの主張の根拠は、当時のソニー副社長で指揮者でもある大賀典雄氏(のちに社長・会長も務める)の発言による。大賀は「オペラの幕が途中で切れてはだめだ。ベートーベンの『第九』も入らなくては。ユーザーから見て合理性のあるメディアにしなくては意味がない」と主張したのだ。
この主張は第九の演奏時間はかなり長いが、その演奏が全て入りきる長さではないと消費者に受け入れられないということを意味する。クラシック音楽の演奏時間を調べてみると、75分あれば95%以上の曲が入ることが分かった。
この主張に対し、フィリップス社は「でも12cmじゃ上着のポケットにも入らんぜ?」と反論。「本当かいな・・」とソニーは、日・米・欧の上着のポケットのサイズを調べ上げて検証。結果、「14cmを下回るポケットはない、12cmで問題なし」ということになり、フィリップス社も折れた。ソニーの主張通り、最大演奏時間75 分、正確に言えば74分42秒、そして直径も12cmに落ち着いたのだ。
【出典】
SONY
(written by 山崎健治)
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