新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は大きく、2020年3月11日には世界保健機構(WHO)はついにパンデミック(世界的な大流行)を宣言しました。
日米など先進7カ国(G7)首脳による緊急テレビ電話会議などを経て、同月24日に東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)が1年程度延期されることが決まったというニュースはまだ記憶に新しいと思います。
 
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今回は「グローバル都市不動産研究所(https://www.global-link-m.com/company/institute/
)」が発表したコロナショックと東京五輪延期が東京の不動産に与える影響に関する分析結果を見ていきたいと思います。
※4月14日時点の予測です


リーマンショック時の不動産の動向


今回のコロナショックが及ぼした(及ぼす)世界的な経済危機を見て、リーマンショックを彷彿した方も多いのではないでしょうか。

2008年9月にアメリカで発生したリーマンショックは、世界規模の金融危機をもたらし、その結果世界経済は深刻な景気後退に陥りました。

アメリカやユーロ圏、イギリスを含む先進国経済は、2009年にマイナス3.4%、世界経済の成長率はマイナス0.5%と、過去60年間で初のマイナス成長になったそうです。

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公示地価の動向


リーマンショック時、東京および全国大都市の公示地価の動向をみると、東京圏の住宅地は2009年マイナス4.4%、2010年マイナス4.9%(商業地は2009年マイナス6.1%、2010年マイナス7.3%)となっています。

不動産価格の動向は経済状況に遅れて現れるため、リーマンショック2年後の方がマイナス幅が大きくなっていることが伺えます。この下落率は、住宅地よりも商業地の方が大きく、名古屋圏、大阪圏でも同様の傾向が見られました。

東京都区部の住宅地は、2009年マイナス8.3%、2010年マイナス6.5%と比較的はやく回復していることがわかります。しかし、東京都区部を地域別にみると、2008年までに大きく上昇を見せていた区部都心部、区部南西部の方が下落率はより大きく、区部北東部や多摩地域では小規模に留まりました。

 
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新築マンションの分譲価格


新築マンションの1屬△燭衒譲価格をみると、2008〜2009年にかけて販売戸数をかなり抑えたことで、2009年は東京圏マイナス1.2%、東京都区部マイナス6.4%の下落となったものの、1年後にはプラスへと回復する結果になりました。
中古マンション(成約分)の1屬△燭蠱渦舛鬚澆討癲2009年に東京圏マイナス5.3%、東京都マイナス5.3%、東京都区部マイナス6.2%となったものの、1年後には回復したことが伺えます。

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これらのデータから、リーマンショックの影響は、商業地価格の方がより強く現れ、住宅地価格は、商業地と比べて大きく下がらなかったことが分かりました。
東京都内及び東京都区部のマンション価格についても、新築、中古とも6%程度の下落にとどまり、リーマンショックから1年程度で回復しています。

コロナショックが不動産に与える影響


リーマンショックとの違い

では、リーマンショックと今回の新型コロナウイルスとの違いはなんでしょうか?

今後の経済動向が直接的に不動産価格に影響を与えるのは、商業地の価格であって、住宅地の価格は居住という安定した実需があるため、商業地と比べてそれほど大きくは下がらない傾向にあるそうです。

「今回のコロナショックの影響がリーマンショック級で収まるならば、東京都及び東京都区部のマンション価格は、1〜2年後には回復していく可能性もあります。しかしながら、今回のコロナショックによる経済危機は、リーマンショックの時とは質が違うとの見解もあります。リーマンショックは金融危機でありましたが、コロナショックはヒト、モノの移動を大幅に抑え込む実体経済の危機なので、その傷はかなり深くなる」と指摘です。 

不動産価格への影響


今回のコロナショックによるヒト、モノの移動の制限で大きく痛手を受けるのは、皆様が痛感しているように、観光業、飲食業、小売業などのサービス業です。

これらが立地する商業地の不動産価格は大きく下落するかもしれない一方で、住宅地の不動産価格は、商業地よりも影響は少ないと予想されています。
とはいえ、深刻な不況に陥れば、家計所得の大幅な低下につながるので、住宅地であっても不動産価格の低迷が続くおそれもあるようです。

「現在、世界および日本の新型コロナウイルスの感染状況は刻々と変化しており、多くを見通せない状況にあります。今後の不動産市場をうらなう上で、コロナショックが日本経済に与える影響を十分に注視していく必要があります。」

東京五輪効果と経済対策がポイント

東京五輪が1年後に。どうなる、経済対策


前述の通り、コロナショックによって商業地の不動産価格に対する影響が予想されます。深刻な不況に陥れば、住宅地での不動産価格に影響が及ぶ可能性もあり、日本経済の腰折れを防ぐため、今年1年どれだけ政府の経済対策が早急に、大胆かつ的確に行われるかに注目が集まります。

この経済対策は、東京五輪の延期と関連していると言っても過言ではありません。

東京五輪の延期に伴い、今年度に見込んでいた経済効果が失われると指摘するエコノミストがいる一方で、日本においては、1年延期となった東京五輪の経済効果によって、コロナショックで冷え込んだ経済をふたたび押し上げてくれる可能性も期待するエコノミストもいます。

都市政策の専門家である市川宏雄所長は「少なくとも東京五輪は1年間の延期となっているので、時間スケジュールは容易に想定できます。ところが、新型コロナウイルス禍については、この後どのくらいの期間続くのか、そして、その感染の規模がどの範囲で収まるのかによって、状況が変わることは明らかです。」と、不安定な現状を元に2つのシナリオを提示しました。

ゞ杁淹態宣言の終わる5月の連休明けには事態の収拾がおおむね図られ、夏には経済回復の兆しが見え、秋には正常に戻ってくる。

▲灰蹈柄ぎが夏を超してしまい、どうやら経済の回復は早くて年末、遅ければ来年までかかってしまう。

「今回の事態になるまでの過去1〜2年間における不動産価格の高騰が取りざたされていました。しかし、実はリーマン前のITバブルの時のほうが、地価は上がっていました。その意味では東京五輪に向けての不動産価格上昇は決して異常な上昇ではなかったとも言えます。公示地価及び不動産価格はそれほど大きく下がらない可能性も期待できるかもしれません。
ただし、不動産価格は経済状況の変化よりも少し遅れて変動するので、今回のことがきっかけで経済の不況が大きく、そして長いものとなると、楽観はできなくなります。」

世界中で深刻な事態を引き起こしている新型コロナウイルス。医療崩壊やロックダウンという言葉が皮肉にも世界中で身近なものになりました。もちろん日本も例外ではありません。
不動産に限らず不安定な状況が続いていますが、今はただ、来年の夏に延期された五輪の開催時までにすべてが正常に戻っていることを願うばかりです。