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塩分の摂りすぎは心疾患や脳卒中などの生活習慣病のリスクを高め、多くの先進国では対策に四苦八苦している。
そんな中、ある取り組みによりイギリスは2003年〜2011年にかけて、疾患と脳卒中の死亡者数を4割も減らすことに成功した。一体何をやった?

少しずつ少しずつ塩分の量を減らして国民をだました

イギリスはアメリカやフランスに比べると塩分の摂取量が元々多かった。
それを重く見たイギリスの食品基準庁は2006年、85品目に4年間で目標値を設定し、食品メーカーに自主的な減塩を求めた。
その中でも特に目をつけたのが主食であるパン。それもそのはず、イギリス国民が摂取する塩分の約18%がパンによるものであったからだ。
塩分を減らすと味が変わってしまうので、パンメーカーは当然のようには難色を示した。

パンメーカー達に対し、専門家グループはある提案を示した。
それは、「ゆっくり段階的に少しずつ塩分を減らそう」ということ。そうすれば、消費者は塩分が減っていることに気付かないだろうという予測を立てたのである。

専門家はこの提案をパンメーカーに受け入れてもらうために実験を行った。その実験では被験者6週間にわたって5%ずつ段階的に減塩したパンを食べさせた。最終的には25%も塩分が減っているにも関わらず、被験者はそのことに気が付かなかったという。

この結果を受けて、大手パンメーカーでつくる業界団体も重い腰を上げた。
最初の年は2%の減塩から開始したものの、その後7年間かけ、20%の減塩を達成。その結果、生活習慣病による死者数も減少したのだ。

【出典】
2017年1月29日「President Online」


(written by 山崎健治)