仏事関連総合サービスを展開する「メモリアルアートの大野屋」。1995年には葬祭業界初となるテレホンセンターを開設。25年にわたって、様々な悩みの相談を解決に導いている。11〜12月にかけては「喪中はがき」に関する問い合わせが多く、中でも「友人、知人関係のどの範囲まで出すべきか」、「葬儀に来た人にも喪中はがきを出すのか」と、“誰に出すべきか”で悩む人が目立つという。

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「喪中はがき」は、身内の不幸により年賀状の挨拶を控える旨を知らせする挨拶状で、喪中のしきたりの一つだ。例年やり取りを交わす相手には、先方が年賀状を準備する前に届ける必要があるため、遅くとも12月の上旬までに送付するのがマナーと言える。

メモリアルアートの大野屋担当者は「喪中はがきを誰に出すべきかで悩んだら、 “毎年、年賀状を出しているかどうか”で判断すると良いでしょう。例年やりとりをしていない方にはあえて送付する必要はございません」と話す。

「喪中はがき」を出す基準は、“毎年、年賀状を出しているか”がポイントとのこと。以下のような基準を参考にしてほしい。

<友人・知人>
→ 年賀状のやりとりがなければあえて喪中はがきを出す必要はない。

<仕事関係>
→ 取引先など「会社名」で年賀状を出す場合は、喪中という概念がないため通常通り年賀状を出して問題ない。喪中はがきを出すことで、逆に余計な気を使わせてしまうケースもあるという。

<葬儀に参列した人>
→ 葬儀に参列した人においても、例年年賀状を出しているのであれば喪中はがきを送るのが一般的。

<故人が年賀状のやりとりをしていた人>
→ 年賀状のやりとりをしていた人宛に自分が差出人となり喪中はがきを出す。「父(母)が●日〇歳で、亡くなりました。生前は大変お世話になりました」などと書く。


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喪中はがきを出す際には、「前文挨拶(時候の挨拶)」、「喪中のため年賀状を出さない」「良い年をお迎えいただきたい」という3つの要素を盛り込むことが望ましい。注意したいのは、結婚などの「近況報告」は併記しないことだ。また年賀はがきを使用しないように気をつけよう。さらに切手には胡蝶蘭などの弔事用のもの、PCで作成する場合は、黒や濃い墨で筆の書体を使いたい。


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上述の通り、喪中はがきは12月上旬までに出すのが基本だが、間に合わなかった場合や年末に親族に不幸があった時、出さなかった相手から年賀状が送られた場合には、正月が明けた段階で「寒中見舞い」を出すのが一般的だ。
1月8日以降に出す場合には、喪中はがきは使用してはいけないことに注意したい。また年賀状のお礼や、喪中のために年賀状を出せなかった旨も記載しよう。


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「喪中はがき」が届いた場合には、「喪中見舞い」を返すのが一般的だ。このケースでは、「亡くなられた事を知っている場合」と「亡くなられた事を喪中はがきで初めて知った場合」によって、内容が異なるので気をつけたい。

亡くなった事を知っている場合では、年賀状は控え、挨拶状をいただいた御礼のお返事を出すと丁寧だろう。その際には「ご挨拶状をいただいた御礼」「遺族が寂しい新年を迎える事への慰めと励まし」「自分からも年賀状を遠慮させていただく」という要素を書くようにしよう。

亡くなられた事を喪中はがきで初めて知った場合には「ご挨拶状を頂いた御礼と不幸を知らずにいた失礼のお詫び」「お悔やみの言葉と慰めや励まし」「自分からも年賀状を遠慮させて頂く」という旨を伝えたいところだ。

今年は新型コロナウイルスの影響により、「コロナ禍」という言葉が多く使われたが、「禍」は忌み言葉であるため、年賀状というおめでたいものには避けるべき表現であると同社担当者は話す。たとえば「今年は大変な1年でしたね。元気に来年お会いしましょう」など、できるだけ新型コロナウイルスは直接記載しない方が賢明だ。
メモリアルアートの大野屋では、同社ホームページでも仏事のマナーなどの貴重な情報を公開。マナーやしきたりを調べることも多いこの季節。悩んだ場合はぜひ一度チェックしてみてはいかがだろうか。