京都の中心部、オフィス街のど真ん中に、その京都最古の寺がある。「六角堂」の名で知られる、紫雲山頂法寺だ。
この六角堂を創建したのは聖徳太子、と言っただけで、その歴史の古さが実感できるはず。794年の平安京遷都よりも、もっと昔からずっと存在し続けてきた。
ビルと住宅地の間に山門がある。それほど大きくはないものの、存在感は抜群だ。
そして、六角堂は「鳩」の寺としても知られる。鳩が、寺の境内に多くいるからだ。いつ行っても、たくさんの鳩に遭遇することでおなじみ。
訪れた日は寒かったのもあり、境内に人はまだらで、鳩もほとんどいなかった。「鳩がいない、こんな日もあるのか・・・」と、正直思ったほど。
しかし、その直後、たくさんの鳩が一斉に、自分のところに飛んできた。まるで、ヒッチコック監督の名作『鳥』の如く、鳥たちが人間に襲いかかってくる、とまではいかずとも、急に鳩が自分のまわりにたくさん飛んで来たら、けっこう恐怖だった。
なぜ、自分の周りに来たのか。手に、さっき買ったばかりの「パン」がたくさん入ったカバンを持っていた。おそらくそのパンの香りを嗅ぎつけたのだろう。ちょっと歩くと、鳩も自分のあとをそぉぉぉっと追いかけてくる。この鳩たち、確実に人間に慣れていた。
手にパンを持ったまま長居は危険と、一時、社務所に避難した後、もう一度外へ出た。
境内で見かけた「鳩」がモチーフの絵馬がまたかわいかった。また「鳩みくじ」も売られていて、これもお土産に良さげだった。そう、鳩は本来かわいい鳥なのだ。ほかにもグッズがいろいろ売られていたので、鳩が好きならぜひ六角堂へ。
そもそも、なぜ「六角堂」を呼ばれているのかは、境内の中央にある御堂を上から見ると、よくわかる。隣接するビルのエレベーターから、ガラス越しに眺めることができる。
御堂が、六角形の形をしている。これはなかなか珍しい。
六角堂は、鳩以外にも見どころは多い。その1つが、境内にある「へそ石」だ。
これは、京都の中心が六角堂にあることを示す石。また、祇園祭の山鉾巡行の順番を決めるくじ取り式が、江戸時代末まで六角堂で行われていた。京都の人々にとって、六角堂こそ京都の中心だという。「いけばな発祥の地」でもある。
六角堂の北側に「聖徳太子が身を清めた」と伝わる池の跡も残る。
京都の中心と言われるだけあり、アクセスも良く、スターバックスも隣接している。まさに、都会のオアシス。たくさんの鳩も出迎えてくれるが、くれぐれも食べ物を持参して参拝へ行くのだけは避けてほしい。
『六角堂』紫雲山 頂法寺
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(Written by AS)