今年は仮面ライダー生誕50周年!ライダー熱が各所で盛り上がる中、シリーズ第1作「仮面ライダー」の放送が開始された4月3日、とんでもない情報が日本を駆け巡った。エヴァンゲリオンで知られるあの庵野秀明さんが脚本・監督を務める、映画「シン・仮面ライダー」の制作が発表!公開は2023年3月を予定とのこと!発表されると同時にSNSは大騒ぎとなり、庵野監督に作ってほしい「シン・〇〇」などで盛り上がった。そんな中、あるライダーの存在を知っている人にとっては、まさかあのライダーの続編が来るのか?と目を疑ったに違いない…。
実は今から30年前、既にシン仮面ライダーは存在していたのである!その正体は、仮面ライダー生誕20周年記念のオリジナルビデオとして制作された「真・仮面ライダー序章」という作品。序章とあるが続編は作られず、まさに幻の作品のような存在になっているが、ファンの間で人気が高い名作である。初見の人からすると、この緑色のグロテスクな怪人は本当にライダーなのか?と思うかもしれない。しかしこの作品こそが、仮面ライダーBLACK RXから2年後に、石ノ森先生が生み出した真の仮面ライダーの姿だった!
内容は本当の原点回帰。仮面ライダー本来の改造人間という設定を、生々しい生物感で描いている。主人公の青年・風祭真がとある財団の企みによって生体改造兵士にされてしまう物語なのだが、機械的なイメージの改造人間ではなく、バイオ技術により体内にバッタの遺伝子を注入された改造兵士というのが最大の特徴である。主人公の感情の高まりと共に、異様なバッタ怪人の姿「仮面ライダーシン」へと変貌するのだが、苦痛に耐えながら徐々に全身が変形し、異形の生物へと変貌する描写がものすごくリアルで怖い。あまりの生物感あふれる造形で、ヒーローというよりもバッタ怪人に近い姿で、自分の運命を変えた組織を皆殺しにしていく。物語はハードな大人向けでエロイしグロい。変身ベルトやライダーキックなどは一切登場せず、脊髄ごと首を引き抜くなど本能のまま復讐を果たしていく。最近の仮面ライダーでは描くことが出来ないようなシーン満載で、子供たちが安易に手を出してしまうと、間違いなくトラウマになってしまう完全な大人向け特撮。そして何よりも物語のラストがものすごく切ない。自らの体にバッタの遺伝子を注入され、まるで怪物のような姿になった主人公はこの先どのような運命を迎えるのか。もし続編が作られていれば「ザ・フライ2」のような展開だったのか…色々と想像を掻き立てられる。序章のまま続編が制作されなかったのが残念だが、仮面ライダーを語る上で決して外してはいけない作品に仕上がっている。
「シン・仮面ライダー」の公開までに、今から30年前に制作された名作「真・仮面ライダー序章」に注目してみてはいかがでしょうか?
(Written by 山岸悠也)