長野県観光機構と「Airbnb」が2021年5月24日、オンラインで記者会見を行い、ポストコロナの時代を見据え、Airbnbを起点に県内の観光や体験などを推進するパートナーシップの締結を発表した。
新型コロナの感染拡大で落ち込む旅行需要。渡航規制によって訪日客は皆無に、国内旅行も緊急事態宣言の発令などの影響で以前ほど活発な動きは見られない。
そんな中での今回の提携。主な目的は「長野県内の関係人口創出と新しい観光需要の創出を推進」だ。関係人口とは、コロナ禍で多くの人々が「弱まった」と感じる「人と人とのつながり」であり、Airbnbの特徴的な旅のスタイル「暮らすように旅する」ことで、若年層を中心としたゲスト(滞在客)と、宿泊先のホスト(提供者)ら現地のコミュニティとつながり、従来と異なる新たな観光需要を生み出したいという。
Airbnbでは、最近の国内観光需要として、「近場」「車で移動」「ワーケーション」「身近な人々との交流」などを挙げ、例えば首都圏から近い地方から需要が今後も増えそうだと見込む。また、会見に登壇した長野県辰野町で「古民家ゆいまーる」を経営するホストは、直近に利用したゲストの傾向として「あえて観光地ではない、普段の忙しい生活から離れ、大切な人たちと過ごしたい人が多いように感じる」と語り、都会の人々にとっての「田舎」が求められているのではとも指摘していた。
今後の主な活動として、伊那谷エリアのホストや須坂市峰の原地区でのコミュニティ作り、オンラインイベントや意見交換会などを実施予定。長野県観光機構は、Airbnbの主要利用層である若年層が今後、「旅そのものではなく、旅先と自身との関係に価値を見出す」とし、「いつでも通える地域」「地域の日常生活を体験したい」などの潜在ニーズを踏まえ、量より質、非日常や特別感より日常・共感などに価値を置くとも想定する。
さらに、これまで主流だった「つくる観光」から「再生活用する観光」を通じ、地域観光への貢献も視野に入れ、具体的に、長野県の観光資源を有効活用しつつ、既にある空き家やペンションの再生などの課題解決にも取り組んでいく。
長野県公式観光サイト「Go NAGANO」
https://www.go-nagano.net/