誰でも加齢とともに身体に変化が起こり得ます。特に40歳を過ぎると、肥満や高血圧といった生活習慣病にも目を向ける必要があります。
実は、多くの男性が直面するED(勃起障害)が、生活習慣病の指標になることを知っていますか?EDを「加齢のせい」と思い込んでいる人は注意が必要です。
今回は、どうしてEDになってしまうのか、また、どうしたら防ぐことができるのかをED治療専門クリニック 浜松町第一クリニック 竹越 昭彦院長が実施した調査をもとにまとめていきます。
EDとは、「勃起が不十分で満足な性交を行えない状態」のことで、「完全型ED」、「中等度型ED」、「軽度ED」の3種類に分けられます。もっとも深刻な「完全型ED」は十分な勃起及びその維持ができなくなってしまう状態です。
ではなぜEDになってしまうのでしょうか。EDの原因は、身体的な原因の「器質性」、メンタル的な原因の「心因性」、薬の副反応が原因の「薬剤性」の3つに分かれます。
この中で最も多い原因とされているのが「器質性ED」で、その中でも加齢に伴う動脈硬化が割合の多くを占めています。
【動脈硬化が進行し、冠動脈が詰まると心筋梗塞が、内頚動脈で血栓ができると脳梗塞に繋がりますが、「陰茎動脈」が詰まると陰部への血流が悪くなりEDとなるのです。陰茎動脈は、体の中でもとても細い血管です。そのため、動脈硬化が始まるとまず起こるのがEDだと言われています。
本調査では生活習慣病とEDの因果関係について調べました。その背景にあるのも動脈硬化です。ほとんどの生活習慣病は、血管に大きなダメージを与えます。それがEDを誘発するのです。】
今回の調査では、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病を患っている人がEDになりやすいことも分かりました。
【血糖値が高い状態だと血管が傷ついて劣化を早めますし、高血圧も血管を傷つけます。その結果、動脈硬化が進みEDになってしまうのです。特に糖尿病は、代表的な合併症に心筋梗塞があがるほど、動脈硬化を進行させてしまう病気のひとつです。脳で感じた性的刺激を伝える神経回路に障害をもたらすことでもEDを進行させてしまいます。】
EDの症状が出た際は、加齢だけでなく、生活習慣を見直すことが必要です。
加齢と共に運動をしなくなってしまい、生活習慣に影響が出ると言う方も多いと思います。特に昨今は、コロナ禍のステイホームや外出自粛でライフスタイルが変わり、運動量が減ったと言う方も多いのではないでしょうか。
コロナ禍前後の生活の変化に関する設問では、「運動量」と「性欲」に大きな変化が見られました。
4人に1人(26.5%)が運動量が減少、5人に1人(19.7%)が性欲が減退したと回答する結果になりました。
定期的な運動は、生活習慣の改善だけでなくED予防にも良い影響を与えるとされています。
では、ED予防にもつながる「定期的な運動」とは、どのようなことをするのが効果的なのでしょうか?分析の結果、有酸素運動が特に良いとされ、中でも「ランニング」や「サイクリング*」が効果的なようです。
*)サイクリングは勃起にかかわる血管・神経が通る会陰部が圧迫されることでEDを誘発する可能性があります。「股間が圧迫されづらいサドルの使用」「圧迫軽減パッド入りパンツの使用」「長時間乗る場合は小まめに休憩を取る」を心掛けましょう。
EDはオープンにしにくい症状ですが、多くの男性が直面する悩みです。「加齢」もEDの原因のひとつですが、動脈硬化のサインかもしれません。EDを単なる加齢のせいにせず、生活習慣の見直すきっかけにしましょう。
出典:
EDは生活習慣病の指標? EDの原因は単なる「加齢」だけじゃない! インフォグラフィックで見る! ED(勃起障害)と生活習慣に関する実態調査2021を公開