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「サステナブルチョコレート」という言葉を聞いたことはありますか?
その認知度は近年高まりつつありますが、あまり聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。

今回はバリーカレボージャパン主催のオンラインフォーラム、「サステナブルチョコレートの未来 2021 with #changemakers」に参加し、サステナブルチョコレートの実態、その未来や目標について学びました。

 初めに、「サステナビリティ」とは、「持続できること」という意味で、近年は世界的に、“地球を持続させるためにできるプロセスやシステム”と言った使われ方をしています。バリーカレボーでは、農家や環境をより大事に、尊重して、「持続可能なチョコレート」を実現させる、という方針の元に日々活動しているのですが、代表取締役社長のパスカル・ムルメステールさんは、それらの活動がSDGsの達成にも密接に関わっていると語っていました。
では、その活動はどのように、私たちの生活に影響を与えてきたのでしょうか?
バリーカレボーは、2025年までにサステナブルチョコレートを当たり前のものにする「フォーエバー・チョコレート」を世界で発表し、ここ数年間、世界中でココア・チョコレートのバリューチェーンの変革を推進してきました。

日本でも、従来 70%が廃棄されていたカカオの実の、果肉の部分、皮の部分を捨てずにアップサイクルして100%カカオフルーツでつくられた「ホールフルーツチョコレート」が今年9月に発売開始となるなど、目標実現のための活動が行われています。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大以降、日本では37%の生活者が、以前より多くのサスティナブルなチョコレートを購入していたことも分かり、世界でもその傾向がみられました。

他にも、2020年までの成果として、
・バリーカレボー社の販売製品のうち37%が100%サステナブルな原材料で製作
・18万件以上の農園の地理、調査が終了
・約9.5万人への児童労働への意識向上へのトレーニングを実施
・カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を8.1%削減
などがあげられています。


このように、少しずつ、確実に、「サスティナブルチョコレート」は私たちの生活に浸透してきているのが分かりますね。


一方で、バリーカレボーの最新の調査によると、
・10人に9人が「チョコレートがサスティナブルか判断するのは容易ではない」と回答
・最もよく知られている「サステナビリティロゴ」でも知っていると答えたのは3人に1人
というような結果もあげられています。

世界が一丸となり、サステナブルチョコレートを意識し、協力できることは、まだだまだあるようです。

自分で「知る」ということも大事ですが、周りに「知らせる」、「伝える」という必要もあるのかもしれません。


Nicko

また、「低い生産性」、「児童労働」など生産者の貧困、「森林破壊」による気候変動などが、未来のチョコレートの供給を脅かすというお話がありました。
チョコレートを何代にも渡って、永久に楽しみ続けるためには、持続性が失われていかないように、環境や働く農家の人々を尊重していくことが大切なのです。

今回のカンファレンスでは、チャレンジメーカーである、森永製菓株式会社の宮井氏、有楽製菓株式会社の河合氏、株式会社ファミリーマートの塚本氏の三名がご登壇するパネルディスカッションがありました。
それぞれのメーカーからも、サステナブルな原材料から作られたチョコレート製品が実際に販売されています。
また、「ホールフルーツチョコレート」発表時から活動に携わってきた、ル ショコラ ドゥ アッシュの辻口シェフ、洋菓子マウンテン 水野シェフ、パティシエ エス コヤマ 小山シェフの三名のシェフもご登壇し、「サステナブル」に意識を向けて作られたチョコレート製品が、日々工夫とともに生まれていることが分かりました。
「サステナビリティロゴ」を掲げ、この活動に協力する企業や団体がより増えていき、「サステナブルな方を選択」できる場面が増えていくように感じます。


最新のNORC調査では、世界の約60%のカカオを生産しているガーナやコートジボワールのカカオ農家の中の約250万のカカオ農家では、いまだに150万人以上の子供たちが働いていると紹介されました。さらに、その子供たちの95%は重機や農薬などを扱い、非常に危険な状況下での労働が強いられていることもわかっています。

この現状は、必ず変えるべきであり、その為には、世界中の協力が必要です。
私たちも、決して他人事ではなく、「一人一人」がその活動の一部になるべきなのではないでしょうか。

そんな中、私たちがまず初めに貢献できる方法として、「サステナブルチョコレート」があるのだと思います。

チョコレートを買いに行く際、売り場に立った時に、「サステナブルチョコレート」という言葉を思い出し、少し意識することができたら、それが未来を生きる私たちの生活に繋がるはずです。