「日本三大商人」は、大坂商人、伊勢商人、近江商人のこと。特に、近江国(現在の滋賀県)に本宅(本家、本店)を置いた近江商人は、日本全国の国々へ行商して歩きました。

例えば、西武グループ、高島屋、伊藤忠商事、丸紅、住友財閥、ワコール、トヨタ自動車、武田薬品工業、日本生命保険などは、いずれも近江商人がルーツで創業し、今も健在の大企業です。

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そんな中、太平洋戦争の終戦まで、朝鮮半島や中国、満州に20店舗近くを展開していた幻の百貨店といわれる「三中井百貨店」の存在。これを意外と知らない人が多いかもしれません。

滋賀県神崎郡南五個荘村(現在の東近江市五個荘金堂町)で、近江商人の実業家である中江勝次郎が三中井呉服店を創業。1905年(明治38年)に今の韓国に渡り、1911年(明治44年)に兄弟とともに京城(現在のソウル)に三中井商店の拠点を据えました。

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その後、平壌、釜山、光州などにも次々と店舗を出店。1945年(昭和20年)の終戦時までに、朝鮮半島12店舗、満州3店舗、中国3店舗と、朝鮮半島では売り上げで三越をしのぐ一大百貨店チェーン、「百貨店王」となりました。

今の百貨店にもみられる、エレベーターやエレベーターガール、天井のシャンデリア、ショーウインドー、商品をジャンルごとにフロア別で販売する売り場などが当時も行われていました。

しかし、日本の敗戦とともに対外資産を失い、三中井百貨店はすべて消滅。現在、彦根市に「三中井」という名の洋菓子店が残るのみです。

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三中井百貨店について、五個荘金堂町にある中江勝次郎の生家で見学することができます。「近江商人屋敷中江準五郎邸」として一般公開されています。準五郎は勝次郎の4兄弟の末っ子です。

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昭和初期に建てられた邸宅は立派なもので、2階に上がると白壁の商人屋敷や庭園が眺められます。この2階の部屋はテレビドラマのロケにもよく使われるのだとか。池泉回遊式庭園も見ごたえあり、日本では珍しい朝鮮由来の「灯篭」が置いてあります。

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五個荘金堂の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。水路には約100匹の鯉が優雅に泳ぎ、地元の人々がボランティアで日々清掃しているとのこと。

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日本を代表する豪商となった「近江商人の発祥の地」であり、江戸後期から明治、大正、昭和初期にかけての大きな近江商人たちの屋敷が今も立ち並ぶ様子は壮観であり、当時の生きざまが垣間見られます。

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東近江市観光協会
https://www.higashiomi.net/
めくるめく歴史絵巻 滋賀・びわ湖
https://historical.biwako-visitors.jp/
(開催期間:2021年9月1日〜2022年3月31日)

(Written by A. Shikama)